年下俺様アイドルの、正しい飼い方

もはや、テロリスト③

　仁はJOKERのセクシー担当であり、俺が弟にしたい男No.1に選ばれた雑誌の読者投票で、今年の抱かれたい男部門一位に選ばれた男だ。

　普段の彼はほんわか穏やか......というかぶっちゃけなんだかぼんやりとした昼行灯ひるあんどんみたいな男だと思うのに、ステージ上や撮影中の業界人オーラは凄まじく、圧倒的なカリスマ性を持つ。

　正直仁には、勝てる気がしない。
　......今は、まだ。

　真面目な性格の彼は、エゴサーチを欠かさない。
　ネガティブな発言も、今後に生かせるから参考にしたいんだそうだ。
　こういうところは、ホント尊敬するし頭が下がる。

　しかし俺は、知っている。
　抱かれたい男なんて世間では言われているがこの男、新品未使用品。
　......生粋の、童貞である。

　なのにそんな事は全く知らないファンの女の子達が非公式のJOKERファンサイトの掲示板に、『エロい、抱かれたい！金なら、いくらでも出す！』だの、『ギター弾く時の指、見た？テクニシャンwww 』だのといった下劣極まりない書き込みをしているのを見る度、純粋過ぎる仁は真っ赤になってふるふると羞恥に震えている。

　そしてそんな彼の姿を目にする度、こうも思うのだ。
　......そんなに恥ずかしいなら、もうそのサイトは見なきゃ良いのに。

　話が脱線してしまったが、俺は別に不機嫌なワケではない。
　とっとと確認作業を終わらせて、愛しい千尋さんが待つ家に帰りたい。
　ただ、それだけなのに。

　だがそんな雰囲気を垂れ流し手しまっていた事を反省し、笑顔で答えた。

「ううん、別に不機嫌なんかじゃないよ。
　ただ今日は早く帰って、たまにはちょっとのんびりしたいなと思ってさ」

　それを聞き彼はなんだか納得のいっていないような顔をしていたものの、そっかとだけ答えた。

　エレンもだが、グループ最年少の俺の事を皆、なにかと気遣ってくれる。
　だけどそれを有難いと感じる反面、こうも思うのだ。

　......皆色々と考え過ぎなんだよ、そのうちハゲるぞ。