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飼い犬に、手を噛まれる④
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だけどこんなワケの分からない誤解まみれの状況下で、付き合ってもいないのに無理矢理キスとかそれ以上の事をされるとか......冗談じゃない。
こんなのやっぱり、間違ってる。
「奏くん、ストップ!
待て!ハウス!」
ブンブンと左右に激しく首を振り、まるで本物の犬に言うみたいにやめろと必死に訴える。
だけど彼は悠然と微笑んだまま、その距離を更に詰めてきた。
「ダーメ、もう待たないよ?
せっかくゆっくりコトを進めようと思ってたのに、俺から勝手に逃げようとした千尋さんが悪い」
「逃げるって、何よ!?
やめろって、言ってるでしょう?
......って言うか、人の話を最後まで、ちゃんと聞けぇぇぇぇえ!!」
ふたりの唇がふれ合うまで、あわや数ミリというところで。
......私の体にのし掛かる彼の股間に、華麗なる膝蹴りが炸裂した。
私から降りて床に転がり、悶絶する奏くん。
それを見てさすがにやり過ぎただろうかと思い、慌てて彼の体を起こした。
「ご......ごめんなさい!
そんなに痛がると、思わなくて。
......大丈......夫?」
「大丈夫じゃない。
......俺このまま、死んじゃうかも」
瞳を潤ませて言われたその言葉に驚き、恐る恐る覗き込むと、彼は真っ赤な顔をしてふるふると震えて。
......そのまま私の体をまたぎゅぅっと強く抱き寄せ、爆笑した。
「咄嗟に避けたからぎりセーフだったけど、全力で急所狙ってくる?普通。
千尋さん、まじでヤバ過ぎ!
あぁ、腹痛ぇ......」
ゲラゲラと声をあげて笑うその表情は、過去に何度か目にした事があった。
子犬みたいに愛らしいいつもの姿じゃなく、そんなちょっと下品な彼の笑顔に何故かドキドキしてしまい、慌てて体を突き飛ばした。
こんなのやっぱり、間違ってる。
「奏くん、ストップ!
待て!ハウス!」
ブンブンと左右に激しく首を振り、まるで本物の犬に言うみたいにやめろと必死に訴える。
だけど彼は悠然と微笑んだまま、その距離を更に詰めてきた。
「ダーメ、もう待たないよ?
せっかくゆっくりコトを進めようと思ってたのに、俺から勝手に逃げようとした千尋さんが悪い」
「逃げるって、何よ!?
やめろって、言ってるでしょう?
......って言うか、人の話を最後まで、ちゃんと聞けぇぇぇぇえ!!」
ふたりの唇がふれ合うまで、あわや数ミリというところで。
......私の体にのし掛かる彼の股間に、華麗なる膝蹴りが炸裂した。
私から降りて床に転がり、悶絶する奏くん。
それを見てさすがにやり過ぎただろうかと思い、慌てて彼の体を起こした。
「ご......ごめんなさい!
そんなに痛がると、思わなくて。
......大丈......夫?」
「大丈夫じゃない。
......俺このまま、死んじゃうかも」
瞳を潤ませて言われたその言葉に驚き、恐る恐る覗き込むと、彼は真っ赤な顔をしてふるふると震えて。
......そのまま私の体をまたぎゅぅっと強く抱き寄せ、爆笑した。
「咄嗟に避けたからぎりセーフだったけど、全力で急所狙ってくる?普通。
千尋さん、まじでヤバ過ぎ!
あぁ、腹痛ぇ......」
ゲラゲラと声をあげて笑うその表情は、過去に何度か目にした事があった。
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