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庇護欲VS嗜虐心②
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だけど少しずつ、確実に距離を詰めていって。
......最終的にその距離を、0に出来たならば。
そんな事を考えていたら彼女はいつの間にか立ち上がり、じっと俺の顔を見上げていた。
「奏くんが昨日カレーが好きだと言っていたから、ネットで調べて、頑張って作ろうとしたんですけれど......」
俺の、ため。......そうか、俺のためなのか!
大事な事だから、脳内で二度言っておいた。
仕上がりは散々なモノではあるけれど、その気持ちが嬉しい。
そうだ!本日を皆川家の、カレー記念日と定めよう。そうしよう。
「勝手にキッチンをお借りした上に、焦げ付かせてしまって。
......やっぱり、怒ってますよね?」
あぁ......阿呆な事を考えていて、あまりにも何も喋らなかったから、勘違いさせてしまったか。
だから俺は慌ててにっこりと微笑み、答えた。
「ううん、怒ってない。
ありがと、千尋さん。
俺のために、作ろうとしてくれて。
......怪我とか、火傷はしてない?」
「えっと......大丈夫です。
ちょっと指先を、切ってしまったくらいで」
じっと自身の指先を見つめ、困り顔でへへへと笑う彼女。
その表情はとんでもなく可愛いが、俺のためとはいえ怪我をしたというのは聞き捨てならない。
今後は俺が不在の時でも彼女が食事に困る事が無いよう、何か作り置きを用意しておいた方が良いかもしれない。
「ホントに、大丈夫?」
どさくさに紛れて彼女の真っ白な手を取り、じっと顔を覗き込む。
すると千尋さんは真っ赤になって、こくこくと縦に首を振った。
守りたいのに、苛めたい。
またしても庇護欲と嗜虐心を同時に煽られたけれど、今回は後者の方が勝利したようだ。
ニヤリと笑い、そのまま彼女の指先を俺の口元へ運んだ。
何をされるのか全く見当がつかないのか、それをポカンと口を空けてただ見つめる千尋さん。
......ホント男に対する警戒心、無さ過ぎだろ。
そして指先をパクリと咥え、わざと舌を絡めると、彼女の体は小さく震えた。
......最終的にその距離を、0に出来たならば。
そんな事を考えていたら彼女はいつの間にか立ち上がり、じっと俺の顔を見上げていた。
「奏くんが昨日カレーが好きだと言っていたから、ネットで調べて、頑張って作ろうとしたんですけれど......」
俺の、ため。......そうか、俺のためなのか!
大事な事だから、脳内で二度言っておいた。
仕上がりは散々なモノではあるけれど、その気持ちが嬉しい。
そうだ!本日を皆川家の、カレー記念日と定めよう。そうしよう。
「勝手にキッチンをお借りした上に、焦げ付かせてしまって。
......やっぱり、怒ってますよね?」
あぁ......阿呆な事を考えていて、あまりにも何も喋らなかったから、勘違いさせてしまったか。
だから俺は慌ててにっこりと微笑み、答えた。
「ううん、怒ってない。
ありがと、千尋さん。
俺のために、作ろうとしてくれて。
......怪我とか、火傷はしてない?」
「えっと......大丈夫です。
ちょっと指先を、切ってしまったくらいで」
じっと自身の指先を見つめ、困り顔でへへへと笑う彼女。
その表情はとんでもなく可愛いが、俺のためとはいえ怪我をしたというのは聞き捨てならない。
今後は俺が不在の時でも彼女が食事に困る事が無いよう、何か作り置きを用意しておいた方が良いかもしれない。
「ホントに、大丈夫?」
どさくさに紛れて彼女の真っ白な手を取り、じっと顔を覗き込む。
すると千尋さんは真っ赤になって、こくこくと縦に首を振った。
守りたいのに、苛めたい。
またしても庇護欲と嗜虐心を同時に煽られたけれど、今回は後者の方が勝利したようだ。
ニヤリと笑い、そのまま彼女の指先を俺の口元へ運んだ。
何をされるのか全く見当がつかないのか、それをポカンと口を空けてただ見つめる千尋さん。
......ホント男に対する警戒心、無さ過ぎだろ。
そして指先をパクリと咥え、わざと舌を絡めると、彼女の体は小さく震えた。
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