年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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一緒に迎えた朝③

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 一見フォローしているようでいて、よくよく聞けばまるでする気がないとすぐに気付かれてしまうであろう言葉。
 だけど表面上は真摯な笑みを浮かべたまま、彼女の顔を覗き込んだ。
 すると彼女は涙目になり、心底すまなさそうに真っ赤な顔で俺の目をじっと見つめ返した。

 うん、可愛い。
 ......いろんな意味で、苛めたい。

「本当に、ごめんなさい。
 でも何も一緒のベッドで寝なくても......」

 先程の発言にさすがに違和感を覚えたのか、ツンと彼女の唇が尖った。
 だから俺は笑いを噛み殺し、今度はちょっと意地悪く、大袈裟に驚いたような顔をして言ってやった。

「だってベッドと布団は、うちには一組しか無いから。
 ......もしかして千尋さん、俺がソファーか床で寝れば良かったと思ってるの?」

 慌てた様子でガバッと正座に座り直し、ブンブンと左右に首を振る彼女。
 そしてそのまま視線を下げて、ぎゅっと握り締めた自身のふたつの拳を見つめた。
 説教をしたつもりは、無かったんだけどな。
 ......可愛いが、過ぎるんだが。

 にやけそうになる口元を無理矢理引き締めて、困り顔で言ってやった。

「うん......だよね?
 俺はお礼を言われる事はあっても、非難されるようないわれは無いよね?」

 ハッとしたようにまた顔を上げ、彼女は蚊の羽音のように、かすかで弱々しい声で告げた。
 ......とてつもなく不本意そうな、表情で。

「えっと......ごめんなさい。
 ......ありがとうございました」

「どういたしまして。
 ホント、気にしないでね?」

 そんな彼女の仕草にはまるで気付かないふりをして、爽やかだとか、可愛いだとかといつも言われる笑顔で言った。
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