年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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近距離注意報①

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「おーい、パスタ出来たんだけど。
 温かいうちに食べた方が、旨いと思うよ?」

 軽く二回ノックしてから、ドアを開ける事無く外から言われた。
 ......なんだ、意外と紳士的なところもあるじゃない。

 最初は失礼な男だと思ったけれど、先ほど初対面は今にして思うとどう考えても普通の状況では無かった。
 だからお互い臨戦態勢をとってしまったのだとしても、仕方あるまい。

 今夜一晩限りの関係とはいえ、変にギクシャクしたままいるよりは、平穏な時を過ごしたい。
 ......ぶっちゃけ、疲れた。

「ありがとうございます、すぐに行きます」

 ドアを開け、顔だけ覗かせ答えた。
 すると彼はガッとドアの端を掴み、強引に抉じ開けた。

「なるほど、中ってこうなってたんだ?」

 前言撤回。
 ......コイツ、見た目に反してやっぱりただのクソガキだ。

「勝手に、開けないで下さい!」

 姉が強引に全部荷物を突っ込んでいるせいで、室内はぐちゃぐちゃだった。
 それこそ空き巣に入られたと言っても、誰も疑わないであろうレベル。

 私のせいではないとはいえ、あまりにも散らかり乱れた部屋を見られたくなかったから、慌てて反対側からドアノブを引っ張って再び閉めようとした。

「危ないじゃん、俺が怪我したらどうしてくれんの?」

「だったら手を、離せば良いじゃないですか!
 って言うか......離して!」

 内と外、その両方から引っ張り合う、綱引き状態。
 我ながら大人げなかったとは思うけれど、これもお互い様と言えよう。
 そして二人が全力で引っ張り続けた、その結果。
 ......手汗で滑り、ドアノブをうっかり離してしまったせいで、思いっきり私は尻餅をついてしまった。
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