年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

文字の大きさ
上 下
2 / 151

最悪な一日②

しおりを挟む
 自宅マンションに着くと、バッグからカードキーを取り出した。
 そして鍵を開けて中に入ったのだけれど、私が二年と少し前にここを出てからかなり内装が弄られているようだった。

 大きな革張りの高級感溢れる茶色いソファーや、少し武骨な印象の真っ黒な棚なんて私は置いていなかった。
 元々この部屋は、白を基調にシンプルながらも可愛らしい感じにまとめていたはずなのに。

 不在の間、お姉ちゃんに好きに使っていて良いよとは言ったものの、何だか落ち着かない。
 日本に。......我が家に帰ってきた気が、しないのだ。

 それでも帰国した直後という事もあり、身も心も疲れ果てていたから、上質だけれどまるで慣れないソファーにドスンと腰を下ろした。
 する事は山積みだし、姉と連絡もまだついていない。
 立ち上がらねばと思うのに、あっという間に心地好い睡魔に飲まれ、そっと目を閉じた。

***

 それから、どれくらい時間が経ったのだろうか?
 姉からの着信で目を覚まし、寝惚けながらスマホを手にした。

『あー......、もしもし。千尋ちひろ
 今もう、マンションに戻ってるの?』

 慌てた感じで、早口で聞かれた。
 だから私は寝惚けながらうーんと大きく伸びをして、答えた。

「うん、家だよ。
 なんかソファーとか棚とか、やたらと物が増えてて、吃驚したんだけど。
 それに私の、荷物!一体どこに、移動させたのよ?」

 すると姉はさらに早口になり、大きな声で叫んだ。

『ごめん、千尋。
 今すぐその部屋を出て、うちに来て!』

 妹との久しぶりの再会の喜びを分かち合う為、というには余りにも、切羽詰まった様子である。
 
「何でよ?今日はもう疲れたし、明日以降にしてよ。
 詳しい話は、その時に」

 通話をしながらソファーの上で、ゴロリと寝返りを打ったその瞬間。
 ......玄関のドアが、ガチャリと開く音がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

新しい派遣先の上司が私のことを好きすぎた件 他

rpmカンパニー
恋愛
新しい派遣先の上司が私のことを好きすぎた件 新しい派遣先の上司は、いつも私の面倒を見てくれる。でも他の人に言われて挙動の一つ一つを見てみると私のこと好きだよね。というか好きすぎるよね!?そんな状態でお別れになったらどうなるの?(食べられます)(ムーンライトノベルズに投稿したものから一部文言を修正しています) 人には人の考え方がある みんなに怒鳴られて上手くいかない。 仕事が嫌になり始めた時に助けてくれたのは彼だった。 彼と一緒に仕事をこなすうちに大事なことに気づいていく。 受け取り方の違い 奈美は部下に熱心に教育をしていたが、 当の部下から教育内容を全否定される。 ショックを受けてやけ酒を煽っていた時、 昔教えていた後輩がやってきた。 「先輩は愛が重すぎるんですよ」 「先輩の愛は僕一人が受け取ればいいんです」 そう言って唇を奪うと……。

処理中です...