ある日、森の中

ryon*

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サラセニア⑦

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 ローションを手に取り、それを伸ばす久米さん。
その動きも、やっぱり卑猥で。
 目のやり場に困り、四つん這いのままただ下を向き、彼の次のアクションを待った。

 小指の先が俺の、これまで排泄する為だけに存在していた場所に、優しく触れた。

 初めてのその感触は、ちょっとくすぐったくて。
 でもそれは同時に、経験した事のない熱を俺に与えた。

 俺の体に、彼の華奢な体が重なるみたいにして覆い被さった。
 そして耳元で、まるで小さな子供を宥めすかすみたいに囁かれた言葉。

「いい子だね。そのまま力抜いて」

「抜き方なんか...わかんな...いっ......!」

 羞恥心が頂点に達し、思わず前に逃れようとした。
 でも既に俺の体は力を失っていて、普通だと絶対久米さんに力負けしたりする筈ないのに、後ろから肩を押さえ付けられ、あっさり逃げ場を奪われた。

「いい子って、褒めてあげたばっかりなのに。
 ......やっぱり、こわくなった?」

クスクスと笑う声が、吐息が、俺の耳朶を甘く刺激する。

 こわい......?

 そうか。俺、こわいんだ。

 だって俺にはもう、分かっていたから。

 ......この人に心だけでなく、体まで溺れてしまったらきっと、もう二度と元の自分には戻れない。

 ごくりと、喉が鳴る。
 そんな俺の背中を見つめたまま、彼が笑う気配だけ感じた。

「でも今更、逃がしてなんてあげないけどね」

小指の先を、自分でも触れた事のないような場所に優しく。
 ......でも強引に、捩じ込まれた。
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