ある日、森の中

サラセニア⑤

「気持ちいい？翼君。」

上目使いに、俺の胸に舌を這わせたまま瞳を見つめる久米さん。
答えなんか知っている癖にと、怨みがましい気持ちを込め、軽く睨んだ。

すると今度は胸の先端を軽く食《は》まれ、もう一度聞かれた。

「ねぇ、気持ちいい？
　ちゃんと、答えてよ。」

クスクスと楽しそうに笑うその顔はとてつもなく卑猥で...でも同時に、とても綺麗で。
俺は目をそらす事も、閉じる事すらも出来ず、熱に浮かされたみたいな状態で答えた。

「気持ち...い...っ！」

彼の頭を、自身の体に押し付けるみたいにして抱き寄せる。
全神経が胸に集中している隙をつくように、いつの間にか伸ばされた彼の指先が、俺の下半身にそっと触れた。

「...素直ないい子には、ご褒美をあげる。」

胸を何度も甘噛みをされ、そんな場所にまで弄ばれて、俺は壊れた玩具みたいにただ震えながら彼の小さな体にしがみついた。

カチャカチャと音を立て、ベルトを外される。
下着ごとずるりと脱がされ、彼は服を着たままだと言うのに、俺は生まれたままの姿にされてしまった。

「ずるいよ、久米さん。
　...俺にも、させて。」

彼の股間に手を伸ばし、ねだった。
そこはもう俺同様大きく隆起していて、自分なんかの痴態に久米さんも興奮してくれているのだと思うと、恥ずかしいのに同時にとても嬉しかった。

彼の唇がまた上に上がってきて、キスを何度も落とされた。
子供みたいな、小鳥が啄むみたいな軽いモノではなく、激しく、貪り合うみたいな口付け。

お互いの敏感な場所を探り合いながらそんな事をされたモノだから、俺はただだらしなく口を開き、夢中で彼の名前を呼び続けた。

「久米...さんっ！
　俺もう、駄目...かもっ！」

彼の手を汚すのを恐れ、左右に激しく首を振る。
でも久米さんはまた楽しそうに笑って、そのまま俺の言葉を無視してそこを擦り上げ続けた。

彼に触れていた俺の手の動きが、自然と止まる。
すると彼の口角が、今まで以上に意地悪い感じで、ニヤリと上がった。

「いいよ、逝って。
　...上手に逝けたら、もっとイイコト・・・・してあげる。」

天使みたいな彼の、悪魔みたいな誘惑。

思うがまま、好き勝手に触られて。
...俺は言われるがまま、彼の手のひらに吐精した。