ある日、森の中

ryon*

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サラセニア④

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連れていかれた彼の部屋は、至ってシンプル。
必要最小限の物しかそこには置かれていない感じで、何て言うか久米さんらしいなという印象だった。

なのに死角になる位置にひっそりと置かれたスチール製の棚には、戦隊モノのフィギュアとDVDのボックスが綺麗に...でも、所狭しと並べられていた。

初めて知る意外な一面に、つい頬の筋肉が緩む。
すると久米さんは、ちょっと照れ臭そうに唇を尖らせて言った。

「...悪い?
 好きなんだよ、子供の頃から。」

その言葉は勿論、彼の宝物と思われる物達に向けられた言葉だ。
そんなモノに嫉妬しても仕方がないと分かっている筈なのに...少しだけ羨ましい。

...俺も彼に、好きって言われたいな。

ねだるみたいに、今度は自分から口付けた。
すると彼はまた穏やかに微笑み、俺の頬に手を添え、キスを返してくれた。

「可愛いなぁ、ホント。
 ...翼君の事、好きだよ?」

全て分かってるよ、とでも言いたげに囁かれたその言葉に、一瞬のうちに再び全身が熱を持ち、火照る。

彼はそんな俺に、またキスをした。
でも今度は触れるだけでなく、舌先が軽く俺の唇をノックする。

それに応えて俺は口を開き、彼の舌を迎え入れた。

俺の歯列に、彼の舌がゆっくり這わされる。
顎の上部をなぞられ、舌で舌を絡め取られて...俺はうまく立つ事も、うまく呼吸をする事すらも出来なくなり、ただ彼にすがり付くみたいにして抱き付いた。

優しく頭を撫でられ、そのまま床に押し倒される。

「...シャワー、浴びたい。」

きっと今、俺の体は汗臭い。
だから訴えたのに、彼は悠然と笑って言った。

「却下、待ってあげない。」

Tシャツの裾から、彼の細くしなやかな指先が侵入してくる。
本当は恥ずかしくて堪らなかったけれど、彼が脱がしやすいよう軽く腰を浮かせた。

久米さんの唇は、下へ、下へと少しずつ下がってきて、剥き出しになった俺の上体へと触れた。

首筋、喉仏、肩...そして胸の先端にまでも這い回る、彼の舌と唇。

その感覚に俺は抗う事が出来ず、翻弄され...耳を覆いたくなるような淫らな吐息と喘ぎ声をあげ続けた。
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