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魔女の目的②

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 馬車の屋形内で一人、あぁでもない、こうでもないと考えを巡らせる。
 
「ヴァイオレットお嬢様、着きました」

 馭者ぎょしゃの声に反応し、視線を窓の外にやると、イザベラちゃんと出逢った日同様、今にも雨が降り出しそうなほど厚い雲に空は覆い隠されていた。

***

 イザベラちゃんの家に着くと、私はコンコンと二度、ドアをノックした。

「……どちら様ですか?」

 恐る恐ると言った感じで、震える小さな声で聞かれた。

「ヴァイオレット・コバンです。
 どうしてもあなたとお話をしたくて、突然で申し訳ないとは思ったのですが、遊びに来てしまいました」

 ガチャリと鍵が、開かれる音。
 嬉しそうに頬を紅潮させ、イザベラちゃんがドアの隙間から、ちょこんと顔を覗かせ笑った。

 くぅ……っ、こんな事考えている場合じゃないけど、やっぱり可愛さが尋常じゃない!
 
「いらっしゃいませ、ヴァイオレット様!
 本当にまた私に、会いに来て下さったのですね!」

 テレテレと嬉しそうに笑うその表情はやはり、悪しき魔女と言うよりは妖精か天使みたい。
 ピリピリとささくれだっていた心が、癒されていくのを感じる。

 しかしその時開いたドアの隙間から、凄まじい異臭が漂って来たせいで思わず顔をしかめた。

「イザベラ様、こんにちは。
 ……これはいったい、何の臭いですの?」

 指で鼻を摘まみながら、聞いた。
 すると彼女はハッとした様子で外に出て、慌ててドアを閉めた。
 それに驚き、じっと彼女の深紅の瞳を見つめる私。
 すると特に悪びれるでもなくにへらと笑い、魔女見習いの少女は答えた。

「えっと……毒薬、です。
 ……ダマスエルの木から、抽出した」

 ……なんですと!?
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