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二人きり③

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「リリィは、焼き餅妬きなんだ。
 いつも美里の事を話して聞かせてるから、たぶん色々察してるんだろ?」

 クスクスと笑いながら、ドラゴンと自身の鼻先を突き合わせるアリシアちゃん。
 するとリリィは嬉しそうに、スリスリと鼻を彼女に擦り付けた。

 それってつまり、アリシアちゃんが本当は男の人だっていうこととか、私が彼女に想いを寄せているっていうこととかだろうか?

 だとしたらリリィが私に対して、嫉妬みたいな感情を抱いても仕方がないかもね。
 だって私だってアリシアちゃんにあんな風に、素直に甘える事が出来るリリィがちょっぴり……ううん、かなり羨ましいもの。

「可愛いリリィ、拗ねないで機嫌を直してよ」

 ちゅっ、と音を立て、アリシアちゃんの愛らしいさくらんぼみたいな唇が、リリィの鼻先に触れた。
 その瞬間緑色をしたドラゴンの頬は薔薇色に染まり、瞳はハートみたいな形になった……ような気がした。

「駄目ぇぇぇえ!!」

 大声で叫びながら、リリィとアリシアちゃんを引き離す私。
 するとアリシアちゃんは、呆れ顔で言った。

「こら、美里。
 リリィは体はでっかくても、まだ子供なんだぞ。
 張り合おうと、してんじゃねぇよ」

 味方をされたリリィは見せ付けるみたいにニヤリと口角を上げて笑い、彼女の小さく華奢な体に身をすり寄せた。

 前言、撤回。この子、ぜんっぜん可愛くない!

 プゥとほっぺたを膨らませたら、リリィはちょっと私の事を馬鹿にしたようにフフンと鼻を鳴らして笑った。
 そしてアリシアちゃんが背中をそっと撫でると、リリィは彼女が乗りやすいように身を縮めた。

 アリシアちゃんは慣れた様子でひょいとドラゴンの背に飛び乗ると、私に向かい手を差し出した。

「おいで、美里!」

 いつもとは違い乗馬服に身を包み、
ポニーテールに髪をまとめた姿は物語のヒロインというより王子様みたい。
 めちゃくちゃドキドキしながらも私も手を伸ばし、彼女の手を掴んで引き上げられるみたいにしてリリィの背に乗せて貰った。
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