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二人きり①

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 ドラゴンの話は正直半信半疑だったのだけれど、その週のお休みの日……日本で言うところの日曜日に、アリシアちゃんにデートに誘われた。
 とはいえ見た目は女の子同士なワケだから、デートというとかなり語弊がある気がしないでもないけれど。

「お待たせ致しました、ヴァイオレット様。
 ここからは従者抜きで、二人きりで参りましょうか?」

 にっこりと微笑む、アリシアちゃん。
 今日の彼女の服装はいつものような清楚系のワンピース的なモノではなく、少しマニッシュなパンツスタイルの乗馬服。
 しかも、ポニーテール。
 くぅ……っ、たまらん!

 ひとり興奮する私に、死んだ魚のような視線を向けられた。
 だけど彼女はすぐにいつもみたいに人好きのする、愛くるしい笑みを浮かべた。

「ヴァイオレット様……?」

 おっと、いけない。
 鈴の転がるような可愛い声で聞かれたけれど、これはきっと『早く返事をしろ』という事なのだろう。 

 にやける顔を慌てて引き締め、私も子爵家の令嬢ヴァイオレット・コバンらしく見えるよう、優雅な微笑みを返した。

「そうですわね、アリシア様。
 ではあなた達は、その辺りで待っていて頂戴」

 お付きの者達にそう指示をすると、アリシアちゃんはにっこりと満足そうに笑った。

 そんな少し傲慢な仕草さえも、可愛いとか……。
 しかも彼女とこれから、二人きり。

 襲うなと言われたけれど、手くらいは繋いでも良いかな?
 良いよね?きっと。もし駄目って言われても、ちょっと匂いを嗅ぐくらいなら……。

 そんな乙女らしからぬ事を、考えていたら。
 ……当たり前みたいな顔をして、アリシアちゃんが私の手を取った。
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