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魔女との邂逅①

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 翌日は朝から天気が悪く、空はどんよりと曇っていた。
 今日の授業はもう全て終わったけれど、アリシアちゃんは何か予定があるようだから、お茶会も無し。
 苛め役令嬢であるシルヴィアちゃんと私は、小説なら出番無しのまま一回お休みってところか。

 ちなみにレイたんは皇太子様にからかい混じりに話し掛けられ、ツンデレを炸裂させていた。
 その幸せ過ぎるやり取りを見てだらしなくほっぺたの筋肉が緩み掛けたけれど、これはヴァイオレットらしからぬ表情だったから慌てて引き締めた。

 あぁ......これホント、アナザーストーリーとして別途発売してくれないかな。
 出たら私、絶対に買うのに!

***

 馬車での、帰宅途中。
 突然雨足が強くなり、道がぬかるんでいた事もあり車輪を泥に取られ、森の中で立ち往生してしまった。

 私も手を貸したのだけれど結局どうすることも出来ず、にっちもさっちも行かなくて馭者ぎょしゃがウチまで助けを求めに徒歩で戻ってくれる事になった。
 その為私は馬車の屋形に一人、残されてしまった。
 
 季節は秋も半ばに差し掛かっており、その上雨で濡れてしまったせいで、震えが止まらない。
 どうしたものかと途方に暮れながらそっとカーテンを開くと、ちょうどこちらに向かって歩いていた、真っ黒なマントを羽織った小柄な女性と目が合った。

 そして、それに驚いたのか。
 ......その人はピョコンと飛び上がり、そのまま地面にドスンと尻餅をついてしまった。

 驚かすつもりは無かったけれど、これは私が悪かった気がする。
 大変申し訳ない気分になり、慌てて屋形のドアを開けて外に飛び出し、彼女に向かいそっと手を差し出した。
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