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思ってたのと、違う!①
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その日の午後の、3時過ぎ。
私はアリシアちゃんと二人、今日もお茶会という名の作戦会議に、彼女の邸宅で臨んでいた。
「思ってたより、いい感じだな。
ちょっと順調過ぎて、気味が悪いくらいだ」
ティーカップに注がれた紅茶をズズっと下品な音を立ててすすり、アリシアちゃんは言った。
「気味が悪いって、何よ。
良い事じゃない、このままいけばレイたんと皇太子様ルート、確定でしょ!」
先ほど二人の間に流れていたほんのり甘い空気を思い出し、口元がにやけた。
「まぁ確かに、それはその通りなんだけどさ。
でもなんか、上手く行き過ぎって気がして......」
能天気な私とは違い、慎重派の彼女からしてみたら、そう思うのも無理の無い話なのかも知れない。
だけど先ほどの皇太子様の感じだと、そう遠くない未来、物語はきっと最高のハッピーエンドを迎える事が出来るに違いない。
ふへへと緩んだ私の顔を呆れ顔で見つめ、アリシアちゃんはクスリと笑った。
「でもまぁ、そうだな。
上手く行き過ぎて不安だなんて、数日前の俺からしてみたら、想像も出来なかった贅沢な悩みだ」
ケーキをフォークでズブリと刺し、ダイナミックに口に突っ込むアリシアちゃん。
二人きりだと本当に、何て言うか......男らし過ぎる。
私もフォークで一口分のケーキを取り、パクリと頬張った。
すると彼女はプッと吹き出し、私の唇にそっと手を伸ばした。
「クリーム、ついてる。
食べるの、下手くそか!」
そして指先でクリームを拭うと、そのまま自身の口元へも運び、ペロリと舐めた。
くぅ......っ、不覚にもキュンとした!
......レイたんという推し令嬢がいるのに、私の浮気者。
でも考えてみたら、この人は私同様なんちゃって令嬢だし。
それに中の人はどうやら、優っていう名前の男の人なワケだし。
って、ちょっと待て。
なら今私は、男の人にこんな真似をされたって事じゃない!
様々な感情が渦巻き、激しく動揺する私。
そんな私を見てアリシアちゃんは、ちょっと意地悪くニヤリと唇を歪めた。
「お前なぁ......男に対して免疫、無さ過ぎだろ。
でもまぁそういうところ、可愛いと思うけどな」
今、ハッキリ分かった。
アリシアちゃんの中の人は、女たらしのチャラ男さんです!
私はアリシアちゃんと二人、今日もお茶会という名の作戦会議に、彼女の邸宅で臨んでいた。
「思ってたより、いい感じだな。
ちょっと順調過ぎて、気味が悪いくらいだ」
ティーカップに注がれた紅茶をズズっと下品な音を立ててすすり、アリシアちゃんは言った。
「気味が悪いって、何よ。
良い事じゃない、このままいけばレイたんと皇太子様ルート、確定でしょ!」
先ほど二人の間に流れていたほんのり甘い空気を思い出し、口元がにやけた。
「まぁ確かに、それはその通りなんだけどさ。
でもなんか、上手く行き過ぎって気がして......」
能天気な私とは違い、慎重派の彼女からしてみたら、そう思うのも無理の無い話なのかも知れない。
だけど先ほどの皇太子様の感じだと、そう遠くない未来、物語はきっと最高のハッピーエンドを迎える事が出来るに違いない。
ふへへと緩んだ私の顔を呆れ顔で見つめ、アリシアちゃんはクスリと笑った。
「でもまぁ、そうだな。
上手く行き過ぎて不安だなんて、数日前の俺からしてみたら、想像も出来なかった贅沢な悩みだ」
ケーキをフォークでズブリと刺し、ダイナミックに口に突っ込むアリシアちゃん。
二人きりだと本当に、何て言うか......男らし過ぎる。
私もフォークで一口分のケーキを取り、パクリと頬張った。
すると彼女はプッと吹き出し、私の唇にそっと手を伸ばした。
「クリーム、ついてる。
食べるの、下手くそか!」
そして指先でクリームを拭うと、そのまま自身の口元へも運び、ペロリと舐めた。
くぅ......っ、不覚にもキュンとした!
......レイたんという推し令嬢がいるのに、私の浮気者。
でも考えてみたら、この人は私同様なんちゃって令嬢だし。
それに中の人はどうやら、優っていう名前の男の人なワケだし。
って、ちょっと待て。
なら今私は、男の人にこんな真似をされたって事じゃない!
様々な感情が渦巻き、激しく動揺する私。
そんな私を見てアリシアちゃんは、ちょっと意地悪くニヤリと唇を歪めた。
「お前なぁ......男に対して免疫、無さ過ぎだろ。
でもまぁそういうところ、可愛いと思うけどな」
今、ハッキリ分かった。
アリシアちゃんの中の人は、女たらしのチャラ男さんです!
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