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皇太子様ホイホイ大作戦、始動です!①

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 その、数日後。
 学園の教室内で、不機嫌な様を隠そうともせず、レイたんが私に向かい言った。

「ねぇ、ヴァイオレット様。
 最近あなた、随分アリシア様と仲が良いみたいね?
 ......一体どういった風の、吹き回しかしら」

 自分が声を掛けられたワケでもないのにサッと顔色を真っ青に変える子や、興味深げに野次馬根性丸出しで聞き耳を立てる子。
 様々なご令嬢達が遠巻きに、その様子をうかがっているのを感じる。

 そして私同様苛め役令嬢であるAことシルヴィアちゃんは、どうしたらいいか分からず、オロオロと泣きそうになっている。
 ......ここはレイたんの発言に乗っかって、そうよそうよとはやし立てるところでしょうが。
 苛めるの、下手くそか!

 だがレイたんがツンデレ属性な上、実はさみしがりやさんであることを知る私としては、これは別に危機的状況でもなんでもない。

 私が彼女からしてみたら敵みたいな存在だけれど実は仲良くしたいであろうアリシアちゃんと親しくしている事に対する嫉妬だと分かっているから、むしろ『うひょー、ご馳走さまです!もっとお代わり下さい!』という気分だ。

 勿論そんな事は言えないから、ここぞとばかりに笑顔で告げた。

「ええ、レイチェル様。
 アリシア様はとても可愛らしいお方なので、お話をしていてとても楽しいです。
 そうですわ!
 今日も彼女を、お茶会にお招きしておりますの。
 レイチェル様とシルヴィア様も、ご一緒にいかがですか?」
 
 どうやってレイたんとアリシアちゃんの、仲を取り持つか。
 それに苦心していたところだから、これは願ってもいない言い掛かりだ。

 一瞬驚いたように見開かれた、レイたんのつり目がちな大きな瞳。
 隣でシルヴィアちゃんはそわそわと、でもちょっぴりワクワクした感じでそのやり取りを見守っている。
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