その男、やっぱりストーカーにつき

これを恋と、よんでいいなら⑱

「可愛いなぁ、ホント。
　ここ、気持ちいの？」

　楽しそうに笑いながら聞かれたけれど、恥ずかしくて答える事の出来ない俺。
　するとまた少し強く摘ままれ、再び聞かれた。

「なぁ、聞いてんだけど？
　気持ちいいよね？原くん」

　耳元で囁かれ、体が更に熱を持つのを感じた。
　妄想の中の彼よりも、ずっと意地悪で情け容赦ない二見さん。
　羞恥に震えながらこくんと小さく頷くと、彼は満足そうに微笑んだ。

「もしかして、ちょっと痛いのも好きだったりすんの？」

　ぎゅっと胸の先端を摘ままれ、軽い痛みと熱が俺を襲う。
　
「分かんな……いっす。
　そんなの、された事な…い……！」

　すると彼はそれもそうかと言い、ククッと笑った。

「俺はあんま痛がらせるのとか、汚いのは基本興味がないかも。
　だから酷い事はしないつもりだから、安心して」

　自身の性癖についても正直なんとなくしか把握していない上、これまでパートナーがいた経験もないのだ。
　自慰行為をしないワケじゃないが、その際も胸なんて触らないし。
　そんな俺が自発的に痛い事をしてみようだなんて、考えるはずもない。
　なのに与えられた痛みは、甘い疼きをもたらした。

　意地悪な事を言いながらも、俺に触れる彼の表情は優しい。
　何度も妄想した、二見さんとの行為。
　だけど現実は、そんなのとは比にならないほど刺激的だった。

「ここも、苦しそうだな。
　そろそろ、脱ごっか？」

　下腹部に触れた、彼の指先。
　恥ずかしくておかしくなりそうだったけれど、ずっと密かに恋い焦がれ、大好きだった二見さんに触れて貰えるのだと思うと嬉しかった。
　だから自発的に腰を浮かせ、彼が脱がせるのに身を委ねた。