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これを恋と、よんでいいなら⑪
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さっきとは異なる種類の涙が、思わず溢れそうになった。
しかしそこで空気をまるで読めない西園寺さんが、会話に割って入ってきた。
「おい、二見。……それは、聞き捨てならないな。
世界一可愛いのは、うちの陸斗くんだろうが!!」
……ホントある意味スゴいな、この人。
でもこのおかげで、一瞬のうちに涙は引っ込んだ。
カオス過ぎる状況にどんな感情を抱けば良いのか分からなくなり、ただ戸惑いながら成り行きを見守る事しか出来ない俺。
二見さんは西園寺さんの気持ちの悪い発言はスルーしたまま、腰を抜かしているらしき男の懐から名刺入れを手際よく抜き取り、身元を確認した。
「……ふーん、宝田コーポレーションの課長さん、ねぇ。
まぁまぁ、大手じゃん。
海晴。確かここ、うちとも取引あったよね?」
「うん、あるよ。確か下請けの、更に下請け業者だったかな?」
もうこのやり取りに興味がなくなったのか、はたまた自分の出番はないと判断したのか。
スマホを取り出し、二見さんの質問に答えながら、盗み撮りしたとしか思えない陸斗の写真を嬉しそうに眺める西園寺さん。
「特別に、選ばせてやるよ。
……社会的に殺されるのと、肉体的に殺されんの、どっちが良い?」
項垂れる男の顎先に手を伸ばし、無理矢理上を向かせると、二見さんはニタリと不敵に笑った。
だけどこの人は、何も悪くはない。
そもそも今日会ったのも、ホテルに入ろうとしたのも、すべて同意の上の事だったのだ。
「待って下さい、二見さん!
……もう、大丈夫っすから」
慌ててふたりの間に割って入り、制止した。
するとその隙にフラフラと男は立ち上がり、無言のままその場から逃げ出した。
しかしそこで空気をまるで読めない西園寺さんが、会話に割って入ってきた。
「おい、二見。……それは、聞き捨てならないな。
世界一可愛いのは、うちの陸斗くんだろうが!!」
……ホントある意味スゴいな、この人。
でもこのおかげで、一瞬のうちに涙は引っ込んだ。
カオス過ぎる状況にどんな感情を抱けば良いのか分からなくなり、ただ戸惑いながら成り行きを見守る事しか出来ない俺。
二見さんは西園寺さんの気持ちの悪い発言はスルーしたまま、腰を抜かしているらしき男の懐から名刺入れを手際よく抜き取り、身元を確認した。
「……ふーん、宝田コーポレーションの課長さん、ねぇ。
まぁまぁ、大手じゃん。
海晴。確かここ、うちとも取引あったよね?」
「うん、あるよ。確か下請けの、更に下請け業者だったかな?」
もうこのやり取りに興味がなくなったのか、はたまた自分の出番はないと判断したのか。
スマホを取り出し、二見さんの質問に答えながら、盗み撮りしたとしか思えない陸斗の写真を嬉しそうに眺める西園寺さん。
「特別に、選ばせてやるよ。
……社会的に殺されるのと、肉体的に殺されんの、どっちが良い?」
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「待って下さい、二見さん!
……もう、大丈夫っすから」
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