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これを恋と、よんでいいなら⑧
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「こんにちは、原くん。
昨日は付き合ってくださり、ありがとうございました」
お昼時、上司である西園寺さんと共に二見さんが俺の働く弁当屋を訪れた。
仕事モードの二見さんは昨日とは異なり、真面目で他人行儀だ。
これまではこっちが普通だったはずなのに、素の彼を知ってしまった今は、それがちょっとだけ寂しい。
でもこの方が、当たり前なのかも知れない。
だって俺は彼の上司の恋人の、友達に過ぎないのだから。
「こんにちは、二見さん。
こちらこそ、ありがとうございました」
笑顔で答えたけれど、彼は何故か眉間に深いシワを寄せた。
それから俺の額に手をやり、フゥと小さく息を吐いた。
「熱があるとかでは、無さそうですね。
でも、原くん。……何か、ありましたか?」
心配そうに間近に顔を覗き込まれて、心臓がドクンと跳ねた。
でも同性である彼に、こんな邪な感情を抱いているだなんて、知られたくない。
……この人にだけは、嫌われたくない。
「昨日の夜、ゲームに夢中になっちゃって。
少し、寝不足気味なんっすよ」
ヘラヘラと笑いながら、いつもの自分を装い答えた。
すると二見さんは、少しだけ納得のいっていないような様子ではあったけれど、それ以上追求する事なく引き下がってくれた。
なのにホッとするのと同時に、ちょっと泣きたくなった。
ねぇ、二見さん。
俺は今夜あなたを想いながら、逢った事もない男に抱かれるかもしれないんですよ?
もしそう言ったら、二見さんは俺の事を止めてくれるだろうか?
そんな馬鹿な事を一瞬考えたけれど、きっとその発言は彼を困らせるだけだ。
だって俺が例え誰に抱かれようと、この人にはまったく関係のない話なのだから。
「こんにちは、原くん。
昨日は付き合ってくださり、ありがとうございました」
お昼時、上司である西園寺さんと共に二見さんが俺の働く弁当屋を訪れた。
仕事モードの二見さんは昨日とは異なり、真面目で他人行儀だ。
これまではこっちが普通だったはずなのに、素の彼を知ってしまった今は、それがちょっとだけ寂しい。
でもこの方が、当たり前なのかも知れない。
だって俺は彼の上司の恋人の、友達に過ぎないのだから。
「こんにちは、二見さん。
こちらこそ、ありがとうございました」
笑顔で答えたけれど、彼は何故か眉間に深いシワを寄せた。
それから俺の額に手をやり、フゥと小さく息を吐いた。
「熱があるとかでは、無さそうですね。
でも、原くん。……何か、ありましたか?」
心配そうに間近に顔を覗き込まれて、心臓がドクンと跳ねた。
でも同性である彼に、こんな邪な感情を抱いているだなんて、知られたくない。
……この人にだけは、嫌われたくない。
「昨日の夜、ゲームに夢中になっちゃって。
少し、寝不足気味なんっすよ」
ヘラヘラと笑いながら、いつもの自分を装い答えた。
すると二見さんは、少しだけ納得のいっていないような様子ではあったけれど、それ以上追求する事なく引き下がってくれた。
なのにホッとするのと同時に、ちょっと泣きたくなった。
ねぇ、二見さん。
俺は今夜あなたを想いながら、逢った事もない男に抱かれるかもしれないんですよ?
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