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これを恋と、よんでいいなら③
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その夜二見さんから、初めてスマホにメッセージが届いた。
かなり前に連絡先の交換はしたものの、ただの社交辞令だろうと考え、こちらから連絡する事はなかった。
そして彼の方からも特に何のアクションも無かったため、やっぱり調子にのってDMなんか送らなくて良かったと、寂しく思いながらも安堵していたというのに。
『夜分遅くに、失礼します。
二見です。
昼間に言っていた映画の件ですが、今週末の金曜の夜辺りでいかがでしょうか?』
それは愛想も何もないビジネスライクな文章だったけれど、とても二見さんらしい気がして嬉しかった。
その日はちょうど早番だったから、夕方にはバイトを上がれる予定だ。
だから浮かれまくった俺は、『OKです、楽しみにしています!』というメッセージと、はしゃいで踊るくまのスタンプを送った。
だけど少し時間が空くと冷静になり、取り消そうとしたのだけれど、速攻で既読マークがついたものだからちょっと途方に暮れた。
『良かったです、では来週の金曜に。
私もとても楽しみです。』
彼も楽しみにしてくれているのかと、再び浮かれかけたけれど、すぐにまた落ち着きを取り戻した。
だってこんなのは社交辞令かもしれないし、楽しみなのは俺と出掛ける事ではなく、映画そのものをさしている可能性の方が高い。
見ているだけで充分だと、ずっと思っていた。
だけど優しくされた事で、途端に欲が出た。
いちいち期待すんなよ、馬鹿みたいに。
‥‥‥期待さえしなければ、裏切られる事も無いのだから。
自嘲的に笑い、スマホの画面に写るメッセージを恨みがましい気持ちでじっと見つめた。
かなり前に連絡先の交換はしたものの、ただの社交辞令だろうと考え、こちらから連絡する事はなかった。
そして彼の方からも特に何のアクションも無かったため、やっぱり調子にのってDMなんか送らなくて良かったと、寂しく思いながらも安堵していたというのに。
『夜分遅くに、失礼します。
二見です。
昼間に言っていた映画の件ですが、今週末の金曜の夜辺りでいかがでしょうか?』
それは愛想も何もないビジネスライクな文章だったけれど、とても二見さんらしい気がして嬉しかった。
その日はちょうど早番だったから、夕方にはバイトを上がれる予定だ。
だから浮かれまくった俺は、『OKです、楽しみにしています!』というメッセージと、はしゃいで踊るくまのスタンプを送った。
だけど少し時間が空くと冷静になり、取り消そうとしたのだけれど、速攻で既読マークがついたものだからちょっと途方に暮れた。
『良かったです、では来週の金曜に。
私もとても楽しみです。』
彼も楽しみにしてくれているのかと、再び浮かれかけたけれど、すぐにまた落ち着きを取り戻した。
だってこんなのは社交辞令かもしれないし、楽しみなのは俺と出掛ける事ではなく、映画そのものをさしている可能性の方が高い。
見ているだけで充分だと、ずっと思っていた。
だけど優しくされた事で、途端に欲が出た。
いちいち期待すんなよ、馬鹿みたいに。
‥‥‥期待さえしなければ、裏切られる事も無いのだから。
自嘲的に笑い、スマホの画面に写るメッセージを恨みがましい気持ちでじっと見つめた。
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