不器用なハニートラップ

完璧な計画⑥

　どうせほどくなら、いっそ一思いにほどいてよ！
　そんな私の気持ちを、察したのだろう。
　彼はまたしてもニヤニヤ笑いを浮かべ、ショーツを結ぶリボンから手を離して言ったのだ。

「でもまぁお楽しみは俺、昔から後に取っておきたいタイプなんだよね」

　本当に、この男は！！

　......愛しい彼に、大切な私の初めてを捧げる日だと言うのに、何故お互いこんな風にマウントを奪い合おうとしているんだろう。

　だけどこうなったら、絶対に負けてなるものかと、よせば良いのにまたしても負けず嫌いが顔をもたげた。

　だから彼のゲス顔に苛立ちながらもにっこりと微笑み、さっき蒼汰にされたみたいに彼の腰紐に手を伸ばし、スルリとほどいた。

　そして胸元をはだけさせ、スルリと指先を忍び込ませると、そのままバスローブを脱がせた。

　だけど彼は動じる事なく、ニッと艶っぽく笑った。
　彼のたくましい体を初めて目の当たりにして、自分がいかに大胆な事をしたのか気付き、思わず目をそらしてしまった。

　すると彼は顎先に手をやって無理矢理視線を合わさせると、私に軽く口付けた。
　その間も彼の手のひらは私の背中を這い、当たり前みたいにブラのホックを外された。

　予想していた事だが、下着という防具を無くし、上体だけとはいえ裸を彼に晒すのは途轍もなく恥ずかしい。
　だけど抵抗する間もなく彼はさっきほどいた腰紐を手に取り、私の両手首を一纏めにしてぐるぐると縛ってしまった。

　え......嘘でしょ？あり得ない！
　こっちは処女だって事なんかとっくに分かっているはずなのに、初心者相手にコイツってば、ホントなんて真似をしやがるのだ！

　抗議の言葉を口にしてやろうとしたけれど胸の頂に舌を這わされ、甘く噛まれるとさっき与えられた熱がまたしても甦ってきて、代わりに自分のモノとは思えないような淫らな吐息が溢れた。