不器用なハニートラップ

完璧な計画①

　シャワーを浴び終わるとバッグから、事前に用意してきた下着の入った紙袋を取り出した。
　
　結局何が正解か分からなかったから美希に付き添って貰い、私に似合いそうな、そして同時に男の人が喜びそうな下着を今回は事前に購入してきたのだ。

　最初私はセクシー全開といった雰囲気の、黒地に紫の刺繍が施してあるモノを手に取った。
　しかし美希はそれを見てふんと鼻で嗤い、言ったのだ。

『それは、無いわ。
　これだから、素人は困る』

　じゃあ美希は何のプロなのだと聞きたくなったけれど、それはなんとか堪えた。
　ご機嫌を損ねて、優秀なアドバイザーである彼女の意見を聞きそびれるのは得策ではないと考えたからだ。

『......じゃあ、どういうのが良いのよ？』

　少しだけふて腐れながらも、おうかがいを立てた。
　すると彼女はそうねぇと言ってキョロキョロと店内を見回し、淡い花柄の肌触りの良さそうな生地に愛らしいレースがあしらわれた、一組の下着を手に取った。

『これなんか、アンタに似合いそう。
　レースが貧乳を、隠してくれる。
　それに、このリボン！
　絶対に、男心をくすぐるはず！』

　貧乳というほど、貧しくないもん！

　本当はそう叫びたかったけれど、彼女の豊満なバストを前にしたらそれも虚しく思えたから、その言葉はぐっと飲み込んだ。

　ショーツの端は彼女の言うように、リボンが結ばれている。
　でもこれをほどいたらきっとぺろんと脱げてしまうに違いないデザインは、可愛らしさとエロスが見事なまでのコラボレーションを果たしていた。

　こんなのを履いている女の子が目の前にいたら、同性の私でもついほどいてしまいたくなる程の破壊力だ。

　そして実際先程蒼汰は、あまりセクシー過ぎるのは好みじゃないと言っていたから、この選択はきっと間違いじゃなかったという事だろう。

　さすが、美希！
　自分と同じで素人だと思ってしまい、すみませんでした。
　......今度から、美希プロと呼ばせて頂こう。