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太陽の下で④
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「でもそれ以外の技術はあるわけだし、気にしなくて良いんじゃない?
別に蒼汰じゃなくても、絵心のある人が担当すれば済む話なんだし」
少しだけ不憫に思い、私としてはフォローしたつもりだった。
だけど彼は恨みがましい視線を私に向け、ボソッと言った。
「......やっぱりカヲルも俺には、絵心が無いと思ってるのか」
しまった!......余計に彼のことを、落ち込ませてしまったようだ。
だけどそのタイミングで私の頼んだドリンク、マシュマロココアが到着したため、気まずい沈黙は破られた。
こちらはホットなのだが、一緒にお皿の上に添えられている猫の形をしたまるでお人形のように可愛いマシュマロを、ココアに浮かせて蕩けさせて頂くスタイルらしい。
美希がキャアキャアはしゃいで話していたから、よく覚えている。
「......可愛いな、それ」
じっ、と釘付けになる蒼汰の視線。
「だよね。以前友達に聞いて、ちょっと気になっていたの」
まるでお風呂に浸かるが如く、プカプカとカップの中、至福の表情で寛ぐ猫。
視覚の可愛らしさだけでなく、ココアと溶けたマシュマロが交じり合った、甘い薫りが鼻腔を刺激する。
「こういうの、良いよね。
蒼汰のお店は美味しい王道なコーヒーが売りだけど、ウチはそれ以外のドリンクも多く置いてるから、こういうのホント勉強になる」
最初ここに行こうと蒼汰に誘われた時は付き添い気分だったけれど、嶋田珈琲で学ぶようになり、私自身目線が変わった気がする。
別に蒼汰じゃなくても、絵心のある人が担当すれば済む話なんだし」
少しだけ不憫に思い、私としてはフォローしたつもりだった。
だけど彼は恨みがましい視線を私に向け、ボソッと言った。
「......やっぱりカヲルも俺には、絵心が無いと思ってるのか」
しまった!......余計に彼のことを、落ち込ませてしまったようだ。
だけどそのタイミングで私の頼んだドリンク、マシュマロココアが到着したため、気まずい沈黙は破られた。
こちらはホットなのだが、一緒にお皿の上に添えられている猫の形をしたまるでお人形のように可愛いマシュマロを、ココアに浮かせて蕩けさせて頂くスタイルらしい。
美希がキャアキャアはしゃいで話していたから、よく覚えている。
「......可愛いな、それ」
じっ、と釘付けになる蒼汰の視線。
「だよね。以前友達に聞いて、ちょっと気になっていたの」
まるでお風呂に浸かるが如く、プカプカとカップの中、至福の表情で寛ぐ猫。
視覚の可愛らしさだけでなく、ココアと溶けたマシュマロが交じり合った、甘い薫りが鼻腔を刺激する。
「こういうの、良いよね。
蒼汰のお店は美味しい王道なコーヒーが売りだけど、ウチはそれ以外のドリンクも多く置いてるから、こういうのホント勉強になる」
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