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虎穴にいらずんば...②
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魅入られてしまったみたいに、彼から瞳がそらせない。
......この男は父のライバル会社の副社長であり、あの憎たらしい幼馴染みの蒼汰だというのに。
そして椅子から立ち上がると、今度は私の顎に手をやり、無理矢理視線を合わさせると、彼は笑顔のまま告げた。
「カヲルの浅はかな考えなんか、こっちは全部お見通しだから。
......どうせ俺を誘惑して、嶋田珈琲の秘伝レシピを聞き出そうとか、阿呆な事を考えてたんだろ?」
彼の色気にすっかりあてられてしまっていた上、あまりにも作戦がバレバレだった事にますます動揺し、アワアワとただ口を開閉する事しか出来ない間抜けな私。
すると彼はやれやれとでも言いたげに嫌味ったらしく溜め息をひとつ吐き出し、いつものあの意地悪な顔で、大きな声で吠えた。
「どうせそんな事だろうと、思ったよ。
だがなぁ......お前ごときが仕掛けたハニトラに、俺様が掛かると思うか?
......100万年早いわ、出直して来い!」
くっ......、ぐうの音も出ない!
「でもまぁせっかくカヲルが慣れない真似をしてまで、誘惑しようと頑張ってくれたワケだしなぁ?」
顎に添えられていた手に、力が込められた。
そしてそのまま更に上を向かされ、彼の顔が近付いてきて。
......思わずぎゅっと、目を閉じてしまった。
間近で蒼汰が、またクスリと笑う気配。
そしてそのまま彼の顔が、ますます私に近付いてきて。
......唇の横ギリギリのところを、ペロリと舐めた。
......この男は父のライバル会社の副社長であり、あの憎たらしい幼馴染みの蒼汰だというのに。
そして椅子から立ち上がると、今度は私の顎に手をやり、無理矢理視線を合わさせると、彼は笑顔のまま告げた。
「カヲルの浅はかな考えなんか、こっちは全部お見通しだから。
......どうせ俺を誘惑して、嶋田珈琲の秘伝レシピを聞き出そうとか、阿呆な事を考えてたんだろ?」
彼の色気にすっかりあてられてしまっていた上、あまりにも作戦がバレバレだった事にますます動揺し、アワアワとただ口を開閉する事しか出来ない間抜けな私。
すると彼はやれやれとでも言いたげに嫌味ったらしく溜め息をひとつ吐き出し、いつものあの意地悪な顔で、大きな声で吠えた。
「どうせそんな事だろうと、思ったよ。
だがなぁ......お前ごときが仕掛けたハニトラに、俺様が掛かると思うか?
......100万年早いわ、出直して来い!」
くっ......、ぐうの音も出ない!
「でもまぁせっかくカヲルが慣れない真似をしてまで、誘惑しようと頑張ってくれたワケだしなぁ?」
顎に添えられていた手に、力が込められた。
そしてそのまま更に上を向かされ、彼の顔が近付いてきて。
......思わずぎゅっと、目を閉じてしまった。
間近で蒼汰が、またクスリと笑う気配。
そしてそのまま彼の顔が、ますます私に近付いてきて。
......唇の横ギリギリのところを、ペロリと舐めた。
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