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もう一度①

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 大学を、卒業後。僕は内定を貰っていた地元の企業に、そのまま就職した。
 そして家を出て、実家近くにアパートを借りた。

 もともと一人暮らしをしていた聡哉は仕事の関係で都内に引っ越す事に決まっていたけれど、東京まではここから電車で20分ほどで行ける。
 だから僕らの友情は永遠に続いていくものだと、信じて疑いもしなかった。

 大学の、門の前。
 ひとりボンヤリとたたずんでいたらいきなりポンと肩を叩かれ、ビクッと震えた。

「おはよう、はる
 今日は寝坊、しなかったんだな?」

 この声。……僕が間違える、はずがない。聡哉だ!

 バッと彼の方を、振り返る。
 すると聡哉は、あまりにも勢いよく僕が振り返ったモノだから、たいそう驚いた様子で切れ長の瞳を見開いた。

「うぉ、ビックリしたぁ!
 ……って、どうした?晴。
 なんか、あったのか?」

 夢以外ではおよそ三年ぶりに目にした、生きている彼の姿。

 最期のお別れをするため、信じられない想いで葬儀に伺った時。
 彼の遺体は本当に損傷が酷く、とてもじゃないが見られる状態ではないのだと聞かされた。
 ……そのため遺族の希望もあり、その姿を目にすることは叶わなかった。

 泣くつもりなんて、無かった。
 なのに生きて動いている彼の姿を見た瞬間、涙が零れそうになってしまった。

 だけど今、もし僕がいきなり泣き出したりしたら、彼に不審に思われてしまうだろう。

 僕にとっては、特別な。
 ……二度と取り戻せないと思っていた、眩しいぐらい大切な、宝物みたいな日々。
 しかし聡哉にとって今日はなんでもない、平凡で当たり前の1日に過ぎないのだから。
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