158 / 172
第4章 星降る都市
【157話】 ヒナリ・コウツ
しおりを挟む
サンスイン城地下。
そこで十戒士候補と思われる男との戦闘中、体制を崩した男に追撃を加えようとしたところ、突如として背後からの攻撃を受け俺はその場に倒れ込む。
周りに敵の気配なんてなく、俺を見下している男に手には俺が先ほど切り落としたはずの腕があり、見せびらかすようにして俺に見せる。
その男の余裕そうな表情を見て、先ほどの攻撃はこの男の魔法なのだと察する。
すぐに立ち上がり男と距離をとる、幸いにも傷は浅い……なんとか戦闘を継続出来る。
男のあの感じ……どうやらあの男の魔法は自身の体をバラバラに出来る……ってところか?
いったいどの部位をバラせる?同時にバラせる数は?どの距離までバラした部位を移動させられる?
わからない、けれど1つ1つを戦闘中に理解していけば対処できるはず。
「まずはっ……!」
俺がまずした事、それは人器を相手の胴に巻き付けようとする事だった。
体の根幹である胴体……そこを巻き取って拘束さえすれば……
「お~」
なんと男は避けることすらせず、そのまま人器に体を巻かれる。
俺はすぐに人器を魔法で硬くして拘束しようとする。
「でも残念~」
しかし男の胴は人器が巻きついついる箇所からバラけて拘束を逃れてそれと同時に腕の一本を俺へと飛ばしてきていた。
まずいっ!早く人器の拘束を解いてガードへ……
しかしヒナリの対応は遅く硬化で顔面を防ぐ前にサリエチの飛ばされた拳が顔面へとクリーンヒットする。
ヒナリの魔法、硬化の効果対象は1つまで。
彼は人器を硬化していたせいでサリエチからの攻撃に対して自身の体を防ぐための硬化が間に合わなかったのだ。
顔面に強い一撃をもらったヒナリは視界が歪み、足元は酔っぱらいのようにフラフラとおぼつかない。
そんな彼をサリエチが見逃すはずがなく飛ばさず残した腕で短剣を握りしめ追い打ちをかける。
「ダンスが上手だなぁ!俺とも踊ろうぜ!!」
サリエチは笑いながらも鋭い目と剣を光らせヒナリの懐へと潜り込み、ヒナリを胴を切り裂く。
……が、サリエチの顔面への攻撃の影響で足がフラついてたおかげでなんとか傷は浅く、その時の痛みでヒナリは正気へと戻る。
しかし蓄積されたダメージは大きく、切られた際、まだ若干ふらつく足でサリエチとは少し距離を離しその場に膝をつく。
「どうした?さっきから戦ってるとよくわかるぜ?お前弱いだろ?」
息を切らしているヒナリに対してサリエリは彼を見透かすように尋ねる。
その問いにヒナリは答えず無言でサリエチを睨みつける。
わかっている、自分が弱いことなんて……痛いほどに。
ヒナリ・コウツ、彼は都市外の村で幼少期を過ごしていたごく普通の少年だった。
そんなある日、村が盗賊に襲われほぼ壊滅させられる。
自分を守ろうと戦おうとした父や母は死に盗賊の凶刃がヒナリへと向けられた際、たまたま偵察帰りのパゼーレ騎士団達に助けられる。
そして彼を助けた本人……それがチャーチスなのだ。
それからヒナリは助けてくれたチャーチスを尊敬し、魔法学園へ入学、卒業後は騎士団へ入った。
そして運命と言えるのか、チャーチスの部下に配属された。
それからはずっと彼を隣で支え続ける、たとえ自身が戦闘においては周りよりも非力でありどんどんと若い人に追い抜かれていても。
彼は自分の弱さを知っている、けれどそれを言い訳に彼は目の前の敵からは逃げない。
か弱そうだと思っていたらその美しい盾を持ち前へ立つ強い心の少女から言われた。
「ヒナリさんの冷静さがあったから捕らわれていた人達を助けられました!」
別の世界から来たとき、俺達が酷いことをしてしまったのに悪態の1つもない少年から言われた。
「あんまりあなたの事を知らないけどこれだけはわかります。
あなたは強い、戦闘的な話じゃなくて精神的?みたいな?」
そしてもっとも尊敬する人から言われた。
「お前は俺にとって1番信頼できるやつだ、だからこいつらをまとめての奇襲作戦をお前に任せられる」
……これは走馬灯というやつなのだろうか、みんなの言葉を思い出しては目の前の敵を倒そうと必死に喰らいつくが何度も何度も反撃をくらう。
こいつは強いな……少ししか戦っていないのに俺の魔法の弱点、硬度には限度がある事、硬化させる範囲が広ければ広いほど硬度が落ちてしまう事に気付き、飛ぶ腕を使い様々な攻撃で翻弄してくる。
血が流れているのか、視界がだんだん赤に染まり朧げにうつる。
立ち上がろうにも既に足に力は入らず動くこともままならない。
そんな俺を目の前にし男は走り距離を詰めてくる、トドメを刺すつもりだろう。
まともに動けないなら、やつの攻撃してきた時に相打ち出来るように頑張ろう。
せめてチャーチスさんの……みんなの負担を減らすように。
……あぁ、ダメだ視界が歪んでまともに狙いが定まらない。
それに幻覚まで見えてくる。
俺に向かって走ってきた男の後ろを別の人間……が……走ってきて?
「なにっ──!?」
サリエチが背後から迫る人影に気付いた時には既に腹部に強い衝撃が走りそのまま側面の壁へと飛び激突する。
サリエチを殴り飛ばしたその男はそのままの勢いでヒナリの目の前にまで走りきってくる。
「待たせた……魔性輪を探すのに手間がかかった」
ヒナリの目の前に現れたその男……それはこの都市、サンスインにおける最強の男。
トウガンだったのだ。
そこで十戒士候補と思われる男との戦闘中、体制を崩した男に追撃を加えようとしたところ、突如として背後からの攻撃を受け俺はその場に倒れ込む。
周りに敵の気配なんてなく、俺を見下している男に手には俺が先ほど切り落としたはずの腕があり、見せびらかすようにして俺に見せる。
その男の余裕そうな表情を見て、先ほどの攻撃はこの男の魔法なのだと察する。
すぐに立ち上がり男と距離をとる、幸いにも傷は浅い……なんとか戦闘を継続出来る。
男のあの感じ……どうやらあの男の魔法は自身の体をバラバラに出来る……ってところか?
いったいどの部位をバラせる?同時にバラせる数は?どの距離までバラした部位を移動させられる?
わからない、けれど1つ1つを戦闘中に理解していけば対処できるはず。
「まずはっ……!」
俺がまずした事、それは人器を相手の胴に巻き付けようとする事だった。
体の根幹である胴体……そこを巻き取って拘束さえすれば……
「お~」
なんと男は避けることすらせず、そのまま人器に体を巻かれる。
俺はすぐに人器を魔法で硬くして拘束しようとする。
「でも残念~」
しかし男の胴は人器が巻きついついる箇所からバラけて拘束を逃れてそれと同時に腕の一本を俺へと飛ばしてきていた。
まずいっ!早く人器の拘束を解いてガードへ……
しかしヒナリの対応は遅く硬化で顔面を防ぐ前にサリエチの飛ばされた拳が顔面へとクリーンヒットする。
ヒナリの魔法、硬化の効果対象は1つまで。
彼は人器を硬化していたせいでサリエチからの攻撃に対して自身の体を防ぐための硬化が間に合わなかったのだ。
顔面に強い一撃をもらったヒナリは視界が歪み、足元は酔っぱらいのようにフラフラとおぼつかない。
そんな彼をサリエチが見逃すはずがなく飛ばさず残した腕で短剣を握りしめ追い打ちをかける。
「ダンスが上手だなぁ!俺とも踊ろうぜ!!」
サリエチは笑いながらも鋭い目と剣を光らせヒナリの懐へと潜り込み、ヒナリを胴を切り裂く。
……が、サリエチの顔面への攻撃の影響で足がフラついてたおかげでなんとか傷は浅く、その時の痛みでヒナリは正気へと戻る。
しかし蓄積されたダメージは大きく、切られた際、まだ若干ふらつく足でサリエチとは少し距離を離しその場に膝をつく。
「どうした?さっきから戦ってるとよくわかるぜ?お前弱いだろ?」
息を切らしているヒナリに対してサリエリは彼を見透かすように尋ねる。
その問いにヒナリは答えず無言でサリエチを睨みつける。
わかっている、自分が弱いことなんて……痛いほどに。
ヒナリ・コウツ、彼は都市外の村で幼少期を過ごしていたごく普通の少年だった。
そんなある日、村が盗賊に襲われほぼ壊滅させられる。
自分を守ろうと戦おうとした父や母は死に盗賊の凶刃がヒナリへと向けられた際、たまたま偵察帰りのパゼーレ騎士団達に助けられる。
そして彼を助けた本人……それがチャーチスなのだ。
それからヒナリは助けてくれたチャーチスを尊敬し、魔法学園へ入学、卒業後は騎士団へ入った。
そして運命と言えるのか、チャーチスの部下に配属された。
それからはずっと彼を隣で支え続ける、たとえ自身が戦闘においては周りよりも非力でありどんどんと若い人に追い抜かれていても。
彼は自分の弱さを知っている、けれどそれを言い訳に彼は目の前の敵からは逃げない。
か弱そうだと思っていたらその美しい盾を持ち前へ立つ強い心の少女から言われた。
「ヒナリさんの冷静さがあったから捕らわれていた人達を助けられました!」
別の世界から来たとき、俺達が酷いことをしてしまったのに悪態の1つもない少年から言われた。
「あんまりあなたの事を知らないけどこれだけはわかります。
あなたは強い、戦闘的な話じゃなくて精神的?みたいな?」
そしてもっとも尊敬する人から言われた。
「お前は俺にとって1番信頼できるやつだ、だからこいつらをまとめての奇襲作戦をお前に任せられる」
……これは走馬灯というやつなのだろうか、みんなの言葉を思い出しては目の前の敵を倒そうと必死に喰らいつくが何度も何度も反撃をくらう。
こいつは強いな……少ししか戦っていないのに俺の魔法の弱点、硬度には限度がある事、硬化させる範囲が広ければ広いほど硬度が落ちてしまう事に気付き、飛ぶ腕を使い様々な攻撃で翻弄してくる。
血が流れているのか、視界がだんだん赤に染まり朧げにうつる。
立ち上がろうにも既に足に力は入らず動くこともままならない。
そんな俺を目の前にし男は走り距離を詰めてくる、トドメを刺すつもりだろう。
まともに動けないなら、やつの攻撃してきた時に相打ち出来るように頑張ろう。
せめてチャーチスさんの……みんなの負担を減らすように。
……あぁ、ダメだ視界が歪んでまともに狙いが定まらない。
それに幻覚まで見えてくる。
俺に向かって走ってきた男の後ろを別の人間……が……走ってきて?
「なにっ──!?」
サリエチが背後から迫る人影に気付いた時には既に腹部に強い衝撃が走りそのまま側面の壁へと飛び激突する。
サリエチを殴り飛ばしたその男はそのままの勢いでヒナリの目の前にまで走りきってくる。
「待たせた……魔性輪を探すのに手間がかかった」
ヒナリの目の前に現れたその男……それはこの都市、サンスインにおける最強の男。
トウガンだったのだ。
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる