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第3章 パゼーレ魔法騎士団
【93話】 初任務[後編]
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煙の濃い森の中、盗賊団の首領との一騎討ちになった。
互いに多少の間合いを取り、様子を伺う。
相手も俺のことを警戒しているのか慎重に立ち回っているようだ。
周りで人の叫び声が飛び交う。
アグン隊のみんなに倒されたり、混乱して仲間で戦ったりと理由はさまざまだろう。
その叫び声の中心とも言える場所に俺達2人は立ち合う。
先に動いたのは相手の方だった、逃げることに必死で俺のことを即座に処理したいようで焦りが見える。
そのおかげで相手の動きが手にとるようにわかる。
まずは顔面にくる右ストレートをギリギリまで引きつけてかわして相手の懐にまで入り込む。
あの時、ゼンとの戦いでの最後に放とうとした技の感覚を思い出そうとする。
あの時の謎の高揚感、確かな成長の兆し、それらを思い出そうと拳を相手にふる。
あの時の感覚を思い出せさえすれば俺はもっと強くなれると確信していた。
「……うぉぉらぁ!!」
俺の叫びと共に相手の腹部に深くめり込む拳。
攻撃は確実に相手に届き、相手を吐血させその場に倒れさせた。
たった一撃での勝利。
しかし、ゼン戦での感覚はない。
特別強くなった感じもしない、どうやらあの感覚はいつでも出せるという訳ではないようだ。
それにしてもやけにあっさりと勝てたな。
そう思っていると辺りの煙がだんだんと薄くなって周りが見えるようになっていた。
「おーいユウト、大丈夫か?そこらへんにこの盗賊団の首領いないか?」
少し離れたところからアグン隊長の声が聞こえた。
その余裕そうな声からアグン隊長が無事なのだと理解した。
アグン隊長が無事なのだと知ったので俺は地面に倒れている盗賊団の首領と思われる男を持ち上げて男の両脇に手を入れて男を拘束した。
抵抗はみせたものの、そこまで体力的が残っていなかったのか余裕で抑えられた。
「多分、この人です!」
アグン隊長の姿が見えた、といってもシルエットだけだ。
片手には剣を持っている事くらいしか判別できない。
男を拘束しながらアグン隊長に男の素性を確認してもらう。
「クソッ!離しやがれ!……言っとくが俺はここのボスってだけだ!この団の首領は別にいる!!」
抵抗しながら男はそう訴える。
「多分コイツはここのリーダーだね、流石だありがとうユウト」
アグン隊長に褒めてもらい浮かれようとした時……
アグン隊長は持っていた俺が拘束している男の首らへんで横に振って男の首から大量の赤い血が……流れた……
「えっ……」
拘束していた男は力なくその場に倒れて、理解が追いつかない俺はその男を見下ろしていた。
「逃してたらどうなってたかわからなかったからユウトが捕まえていてくれて助かったよ。」
男を殺したアグン隊長は明るい口調で俺に感謝の言葉を述べていた。
顔を上げてアグン隊長を見る。
辺りを囲っていた煙が晴れて、アグン隊長の姿がよく見えた。
アグン隊長の全身には赤い液体……自分のかそれとも返り血なのかはわかろうとはしなかったが、ついていた。
辺りを見回す。
アグン隊の他の人"だけ"は無事だった……
それ以外の盗賊団と思しき人達は血を大量に地面に流して倒れており、体が動いている様子はなかった……
ここで生きているのはアグン隊だけだったのだ。
「なんで……殺す必要が、あったんですか……?」
周りの悲惨な状況を見ながらアグン隊長に尋ねる、何かの間違えであってほしいとそう願いながら。
それでもアグン隊長の顔を、俺は見ることが出来なかった……
「……?そりゃそうだろ、だってコイツらが一般人を手にかける可能性があるからな今のうちに討伐しておくだろう。」
アグン隊長はこれが普通のことだというような言い方をする。
そうだった……ここは異世界、俺がいた平和な世界とは違いこういった戦いが日常的に行われているんだ。
アグン隊長はこちらへ歩いてきている。
「まぁ慣れないだろうが、頑張ろうぜ」
アグン隊長は俺を励ましながら横を通っていく、その道中で肩を優しく叩きながら。
……たしかにこの世界の常識は俺の元いた世界とは全く違う。
アグン隊長の言っていることは正しいんだろう……
──けど、
俺は振り返り、アグン隊長の背中を見る。
──それでも……俺は……!
互いに多少の間合いを取り、様子を伺う。
相手も俺のことを警戒しているのか慎重に立ち回っているようだ。
周りで人の叫び声が飛び交う。
アグン隊のみんなに倒されたり、混乱して仲間で戦ったりと理由はさまざまだろう。
その叫び声の中心とも言える場所に俺達2人は立ち合う。
先に動いたのは相手の方だった、逃げることに必死で俺のことを即座に処理したいようで焦りが見える。
そのおかげで相手の動きが手にとるようにわかる。
まずは顔面にくる右ストレートをギリギリまで引きつけてかわして相手の懐にまで入り込む。
あの時、ゼンとの戦いでの最後に放とうとした技の感覚を思い出そうとする。
あの時の謎の高揚感、確かな成長の兆し、それらを思い出そうと拳を相手にふる。
あの時の感覚を思い出せさえすれば俺はもっと強くなれると確信していた。
「……うぉぉらぁ!!」
俺の叫びと共に相手の腹部に深くめり込む拳。
攻撃は確実に相手に届き、相手を吐血させその場に倒れさせた。
たった一撃での勝利。
しかし、ゼン戦での感覚はない。
特別強くなった感じもしない、どうやらあの感覚はいつでも出せるという訳ではないようだ。
それにしてもやけにあっさりと勝てたな。
そう思っていると辺りの煙がだんだんと薄くなって周りが見えるようになっていた。
「おーいユウト、大丈夫か?そこらへんにこの盗賊団の首領いないか?」
少し離れたところからアグン隊長の声が聞こえた。
その余裕そうな声からアグン隊長が無事なのだと理解した。
アグン隊長が無事なのだと知ったので俺は地面に倒れている盗賊団の首領と思われる男を持ち上げて男の両脇に手を入れて男を拘束した。
抵抗はみせたものの、そこまで体力的が残っていなかったのか余裕で抑えられた。
「多分、この人です!」
アグン隊長の姿が見えた、といってもシルエットだけだ。
片手には剣を持っている事くらいしか判別できない。
男を拘束しながらアグン隊長に男の素性を確認してもらう。
「クソッ!離しやがれ!……言っとくが俺はここのボスってだけだ!この団の首領は別にいる!!」
抵抗しながら男はそう訴える。
「多分コイツはここのリーダーだね、流石だありがとうユウト」
アグン隊長に褒めてもらい浮かれようとした時……
アグン隊長は持っていた俺が拘束している男の首らへんで横に振って男の首から大量の赤い血が……流れた……
「えっ……」
拘束していた男は力なくその場に倒れて、理解が追いつかない俺はその男を見下ろしていた。
「逃してたらどうなってたかわからなかったからユウトが捕まえていてくれて助かったよ。」
男を殺したアグン隊長は明るい口調で俺に感謝の言葉を述べていた。
顔を上げてアグン隊長を見る。
辺りを囲っていた煙が晴れて、アグン隊長の姿がよく見えた。
アグン隊長の全身には赤い液体……自分のかそれとも返り血なのかはわかろうとはしなかったが、ついていた。
辺りを見回す。
アグン隊の他の人"だけ"は無事だった……
それ以外の盗賊団と思しき人達は血を大量に地面に流して倒れており、体が動いている様子はなかった……
ここで生きているのはアグン隊だけだったのだ。
「なんで……殺す必要が、あったんですか……?」
周りの悲惨な状況を見ながらアグン隊長に尋ねる、何かの間違えであってほしいとそう願いながら。
それでもアグン隊長の顔を、俺は見ることが出来なかった……
「……?そりゃそうだろ、だってコイツらが一般人を手にかける可能性があるからな今のうちに討伐しておくだろう。」
アグン隊長はこれが普通のことだというような言い方をする。
そうだった……ここは異世界、俺がいた平和な世界とは違いこういった戦いが日常的に行われているんだ。
アグン隊長はこちらへ歩いてきている。
「まぁ慣れないだろうが、頑張ろうぜ」
アグン隊長は俺を励ましながら横を通っていく、その道中で肩を優しく叩きながら。
……たしかにこの世界の常識は俺の元いた世界とは全く違う。
アグン隊長の言っていることは正しいんだろう……
──けど、
俺は振り返り、アグン隊長の背中を見る。
──それでも……俺は……!
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