やさしい異世界転移

第3章 パゼーレ魔法騎士団

【87話】 それぞれの道？

　バリオンと別れて、しばらく歩くと何人かの人影が見えた。

「よっ！ユート！！」

「やっときましたね……」

「どうも」

「おーい！」

　そこにいたのはデイ、ヴァーリン、パートリーそしてレイナだった。

「待っててくれたのか？」

　小走りで4人に近づきながらそう聞いた。

「まぁ最後だしな」

　デイは普段より元気無さそうに話した。
　今日で会えるのは最後なんだしそうはなるだろう。
　そうか……最後か……

「もう、会えなくなるんだね」

　レイナは寂しそうに言う。
　レイナと会うのも今日で最後か、レイナと初めて会ったのは異世界に来た初日だったな。
　最初に会った時はレイナの人器でぶんなぐなれたな……と少ししんみりした思いになる。

「そうだな……でも、みんなそれぞれ自分の道へ進むんだな。頑張れよ。」

　俺はみんなを見ながら少し格好つけながら言った。

「まぁそうですわね。」

「はぁい、ユートもです。」

　ヴァーリンとパートリーが返事を返す。

「それじゃあ！また会う日まで！！」

　俺がそう声かけをして他の4人もその返事を返し、俺たちはそれぞれの道を行った。

　

　行ってしまったか。
　歩いて行くユウト達を学園内からアーニスは見送っていた。

「最後に何か言った方が良かったんじゃないか？」

　何故か後ろにいるルコードが覗き込むように話しかけてくる。

「別にそんなことは私の勝手だ、それよりこれからどうするか決めたのか？」

　まともに答えるのを嫌って私はすぐに話題を変えた。

「俺は別の都市で教員を続けるつもりだ。そういうおまえは？」

「私も同じだ、それ以外特にやりたいこととか無いしな。」

　ルコードの質問に対して軽くで答える。
　まぁコイツと同じなのは気に食わないが、まぁ都市までは被りはしないだろう。

　これでいいんだ、私はもう戦場にはいけない。それでも私にはまだやるべきことが残されてる、それはきっと次の世代に希望を受け継ぐことなんだろう。

　私の希望が彼だったように、私も誰かの希望になれるように……

「ところで"あの事“は言った方が良かったんじゃ無いのか？」

　心配そうに聞くルコード、おそらくあの事とはユウト達に伝えるべきあれだろう。

「まぁ別にいいかなって」

　そっけなく返答する。

「お前そういうところがダメだよな。」

　ルコードが若干引き気味な顔で私を蔑んだ。



　俺は騎士団へと足を運んでいた、別れを告げたはずのみんなと共に。
　別れの言葉を言ったはずなのに、俺たちは何故か一緒に歩いていたのだ。

「……おい、なんで着いてくるんだよお前ら……」

　先に口を開いたのはデイだった。

「あら？私はこっちに用があるんですけど？」

　デイに返答する様にヴァーリンが反応した。

　もう数分は一緒に歩いている。
　もうすぐ着くぞ……俺が騎士団に入ってみんなには知られちゃうな。
　いや知られても特にどうという事はないんだがなんか自分だけ知れるとなんか恥ずい。

　そんなこんなしている間にパゼーレ騎士団の駐屯地へと到達してしまった。

　中央前には巨大な建物、それを横と後ろで囲むように兵舎が立ち並ぶ。
　総合的な建物の大きさでいえば、魔法学園より大きいくらいだ。

　新しい環境での生活に緊張する、けど俺はこの騎士団に入って人を助けるんだ。

「「「「「着いた」」」」」

　思わず出た言葉、しかしその言葉はいくつも聞こえた。
　えっ？と思いながら辺りを見回す。
　俺と同じように驚いた顔で一緒に歩いてきていた全員は見ていた。

　つ、つまり……これは……

「「「「え～！！？？」」」」

　全員の顔を見て察した俺たちはその場で驚きの声を上げた。

　パゼーレ魔法学園
　3年3名、1年俺、レイナ、デイ、ヴァーリン、パートリーを含めた7名
　パゼーレ騎士団に入団！！