65 / 98
第2章 マジックフェスティバル
【64話】 罪の処遇
しおりを挟む
『今日の試合はこれで終わりニャ!明日1日お休みを挟んで、決勝を行うニャ!!』
『それでは今日はこれでお疲れ様でした。』
準決勝である3回戦目が終わり、ニャリスとルコードは本日の試合終了の知らせを行う。
マジックフェスティバル3日目を終えて、選手達は各々寮へと帰って行く。
勝利した事での喜び、敗北した事での悔しさを抱えながら。
しかし帰って行く彼らとは違い、会場内にて拘束されている"元"選手がいるのだ。
「離せよ!!僕はカロオ家の跡取りだぞ!!僕に何かあったら父さんが黙って無いぞ!」
魔法を悪用し、試合が始まる前に対戦相手へ危害を加え、更には女子生徒を誘拐する事を同じ学園の生徒2人に命じたとしてゲドウ・カロオは会場内の拘束室にて罪が確定するまで監禁されることになっていた。
「僕がやった証拠でもあんのかよ!」
当然ゲドウは容疑を否認、2人が勝手にやったと供述を述べている。
更には自分の親の権力まで振りかざしてくるから係員も困っている様子だ。
しかし、ゲドウがついた嘘の供述もすぐに暴かれることになるだろう。
なぜなら……
「証拠が必要なら私がその証拠になります。」
透き通った綺麗な声が聞こえた。
その瞬間、ゲドウの顔は青ざめる。
その声の主が姿を現す。
その声の主とは……
「私が彼の記憶を読めばやってない証拠になりますよね?」
金髪で美しい顔立ちをしている美人がゲドウの前に現れた。
「セリティア……パゼーレ……様」
そう優斗が異世界に来た時にお世話になったセリティアがバットルまで来ていたのだ。
そしてセリティアの後ろから2人の男が現れた。
茶色の髭が特徴的なチャーチスとそしてもう1人は余りにも有名な人物でゲドウも目を丸くした。
その男はかつて、とある都市に攻め入ったドラゴン50以上を1人で倒し、凶震戒の十戒士を単独で2人撃破するなど多くの功績を挙げた男。
この世界の住人が知っている最強の男。
パゼーレの英雄 ディーオンである。
ディーオンの姿を見た途端、ゲドウの体の底から震えあがった。
この人……いや、この生物に抗ったら死ぬという、生命の危機を感じたのだ。
「そうですね。このまま素直に本当の事を話さないのであれば、こちらもそれ相応の対応を取らせてもらいます。」
セリティアは余裕のある事を示したいのかゆっくりとやさしそうに話す。
「そ、それ相応の……対応?」
ゲドウからは既にさっきまでの威勢のよさは消えており、震えた声でセリティアに尋ねる。
「ガロン家から貴族の地位を剥奪します。」
それは貴族である事を誇りに思っているゲドウにとっては残酷な条件だった。
ゲドウは顔を真っ青にしてセリティアの事を見ていた。
「あなたは平民に堕ちるのは嫌ですよね?でしたら……わかりますね?」
やさしい声だが、ゲドウを見ているセリティアのその顔は冷たかった。
「はい……僕が……命令を出しました。」
その重圧に耐えきれなくなり、ゲドウは自分の犯した罪を自白した。
その後、ゲドウは係員に留置所のような場所連れて行かれだのだった。
「それにしても、セリティア様にチャーチス中隊長、ディーオン騎士長がいらっしゃるなんて!!」
ゲドウが連れて行かれた後、残っていた係員は嬉しそうに話しかけてくる。
「いや、訂正してくれや。コイツは今は中隊長じゃなくて、小隊長な」
ディーオンは笑いながらチャーチスに指を差しながら訂正をした。
チャーチスは不満なのか、そっぽを向いた。
「そうでしたか……申し訳ありません。チャーチス小隊長。
それでみなさん、これから決勝を見るのですか!?」
係員はチャーチスについて訂正をした後、また質問をした。
「まぁ、それもあるんだがな……」
ディーオンはその質問に肯定するとともに、難しげな表情を浮かべる。
「なんだか、きな臭い感じかしてだな。」
ディーオンは何かが起こるような事を言った。
『それでは今日はこれでお疲れ様でした。』
準決勝である3回戦目が終わり、ニャリスとルコードは本日の試合終了の知らせを行う。
マジックフェスティバル3日目を終えて、選手達は各々寮へと帰って行く。
勝利した事での喜び、敗北した事での悔しさを抱えながら。
しかし帰って行く彼らとは違い、会場内にて拘束されている"元"選手がいるのだ。
「離せよ!!僕はカロオ家の跡取りだぞ!!僕に何かあったら父さんが黙って無いぞ!」
魔法を悪用し、試合が始まる前に対戦相手へ危害を加え、更には女子生徒を誘拐する事を同じ学園の生徒2人に命じたとしてゲドウ・カロオは会場内の拘束室にて罪が確定するまで監禁されることになっていた。
「僕がやった証拠でもあんのかよ!」
当然ゲドウは容疑を否認、2人が勝手にやったと供述を述べている。
更には自分の親の権力まで振りかざしてくるから係員も困っている様子だ。
しかし、ゲドウがついた嘘の供述もすぐに暴かれることになるだろう。
なぜなら……
「証拠が必要なら私がその証拠になります。」
透き通った綺麗な声が聞こえた。
その瞬間、ゲドウの顔は青ざめる。
その声の主が姿を現す。
その声の主とは……
「私が彼の記憶を読めばやってない証拠になりますよね?」
金髪で美しい顔立ちをしている美人がゲドウの前に現れた。
「セリティア……パゼーレ……様」
そう優斗が異世界に来た時にお世話になったセリティアがバットルまで来ていたのだ。
そしてセリティアの後ろから2人の男が現れた。
茶色の髭が特徴的なチャーチスとそしてもう1人は余りにも有名な人物でゲドウも目を丸くした。
その男はかつて、とある都市に攻め入ったドラゴン50以上を1人で倒し、凶震戒の十戒士を単独で2人撃破するなど多くの功績を挙げた男。
この世界の住人が知っている最強の男。
パゼーレの英雄 ディーオンである。
ディーオンの姿を見た途端、ゲドウの体の底から震えあがった。
この人……いや、この生物に抗ったら死ぬという、生命の危機を感じたのだ。
「そうですね。このまま素直に本当の事を話さないのであれば、こちらもそれ相応の対応を取らせてもらいます。」
セリティアは余裕のある事を示したいのかゆっくりとやさしそうに話す。
「そ、それ相応の……対応?」
ゲドウからは既にさっきまでの威勢のよさは消えており、震えた声でセリティアに尋ねる。
「ガロン家から貴族の地位を剥奪します。」
それは貴族である事を誇りに思っているゲドウにとっては残酷な条件だった。
ゲドウは顔を真っ青にしてセリティアの事を見ていた。
「あなたは平民に堕ちるのは嫌ですよね?でしたら……わかりますね?」
やさしい声だが、ゲドウを見ているセリティアのその顔は冷たかった。
「はい……僕が……命令を出しました。」
その重圧に耐えきれなくなり、ゲドウは自分の犯した罪を自白した。
その後、ゲドウは係員に留置所のような場所連れて行かれだのだった。
「それにしても、セリティア様にチャーチス中隊長、ディーオン騎士長がいらっしゃるなんて!!」
ゲドウが連れて行かれた後、残っていた係員は嬉しそうに話しかけてくる。
「いや、訂正してくれや。コイツは今は中隊長じゃなくて、小隊長な」
ディーオンは笑いながらチャーチスに指を差しながら訂正をした。
チャーチスは不満なのか、そっぽを向いた。
「そうでしたか……申し訳ありません。チャーチス小隊長。
それでみなさん、これから決勝を見るのですか!?」
係員はチャーチスについて訂正をした後、また質問をした。
「まぁ、それもあるんだがな……」
ディーオンはその質問に肯定するとともに、難しげな表情を浮かべる。
「なんだか、きな臭い感じかしてだな。」
ディーオンは何かが起こるような事を言った。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。
トロ猫
ファンタジー
仕事をやめ、なんとなく稼ぎながら暮らしていた白川エマ(39)は、買い物帰りに偶然道端で出会った虐待された少年と共に異世界に飛ばされてしまう。
謎の光に囲まれ、目を開けたら周りは銀世界。
「え?ここどこ?」
コスプレ外国人に急に向けられた剣に戸惑うも一緒に飛ばされた少年を守ろうと走り出すと、ズボンが踝まで落ちてしまう。
――え? どうして
カクヨムにて先行しております。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜
はくまい
ファンタジー
ひょんなことから異世界へと転生した少女、江西奏は、全く知らない場所で目が覚めた。
目の前には小さなお家と、周囲には森が広がっている。
家の中には一通の手紙。そこにはこの世界を救ってほしいということが書かれていた。
この世界は十人の魔女によって支配されていて、奏は最後に召喚されたのだが、宛先に奏の名前ではなく、別の人の名前が書かれていて……。
「人違いじゃないかー!」
……奏の叫びももう神には届かない。
家の外、柵の向こう側では聞いたこともないような獣の叫ぶ声も響く世界。
戻る手だてもないまま、奏はこの家の中で使えそうなものを探していく。
植物に愛された奏の異世界新生活が、始まろうとしていた。
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ
ボケ猫
ファンタジー
日々、異世界などの妄想をする、アラフォーのテツ。
ある日突然、この世界のシステムが、魔法やレベルのある世界へと変化。
夢にまで見たシステムに大喜びのテツ。
そんな中、アラフォーのおっさんがレベルを上げながら家族とともに新しい世界を生きていく。
そして、世界変化の一因であろう異世界人の転移者との出会い。
新しい世界で、新たな出会い、関係を構築していこうとする物語・・・のはず・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる