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しおりを挟むソフィアがシャーロットから質問責めされた後。退勤し、使用人宿舎に戻る途中、ハロルドが待っていた。ここ一週間、ハロルドの姿を見つける度、来た道をUターンしていたソフィアだが、シャーロットと話す中で思う所があり、走り出したい足を必死で止めた。
「ソフィア。やっと捕まえた。」
ぱしり、と優しく腕を掴まれ、人目のつきにくい木陰に連れられる。ソフィアが逃げ出そうと思えば逃げ出せる、そんな力加減がハロルドの優しさを感じられ、胸が苦しくなる。
「……ハロルド、ごめんなさい。」
ソフィアの素直な謝罪に、ハロルドは呆気に取られた後、表情を和らげて首を振った。
「ソフィアはしっかり者だからね。酔っ払った事が嫌だったんだろう。……俺は、ソフィアのどんな姿でも見れたら嬉しいんだけどね。」
ハロルドの言葉に、ソフィアは目に涙を浮かべ、ふるふると首を振った。
「……違うの。」
「違う?」
ソフィアの目に浮かぶ涙に気付いたハロルドが身体をぴくり、とさせた後、気遣うような調子で聞いた。
「……あの時、私、ハロルドに触りたいって、そう思ったの。それが恥ずかしくて、ハロルドに会えなくて……。」
「そ、それは、ソフィアが酔っ払っていたから……。」
「……いいえ。あの日、酔っ払う前から、ハロルドに触りたいって、私、そう思っていたの……きゃっ!」
ソフィアが話し終わった途端、ハロルドはソフィアを引き寄せ、ぎゅうぎゅうに抱き締めた。ソフィアが驚き、身動ぐが、ハロルドはそのまま何も言わずに、抱き締め続けた
「……ハロルド?」
「……嬉しい。」
ハロルドの思いの籠った言葉に、ソフィアは頷くしか出来ない。
「ソフィア、好きだ。」
ハロルドの愛の言葉に、私も、と答えたい衝動に駆られた。だが、自分の気持ちに確証の持てないまま、そう答えることに罪悪感が湧き、ソフィアは何も言えないまま、ハロルドの腕の中に閉じ込められていた。
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