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番外編:キャサリン王女の幸福。5
しおりを挟む「キャサリン様?どうされました?」
キャサリンはアレクサンドラの執務室を訪れた。目を赤くしたキャサリンを見て、ほんの少し眉間に皺を寄せたアレクサンドラが心配そうに尋ねた。
「アレクサンドラ様。私に教えていただけませんか。」
いつもアレクサンドラに頼っていることが、キャサリンは心苦しかったが、ケネスといられるなら何でもしたいという気持ちだけで突き進んでいた。
キャサリンは、ケネスの隣にいたいこと、そしてケネスには植物の研究を続けてほしいこと、その為にはどんな努力も惜しまないので、その願いを叶えるための方法を教えてほしいと頭を下げた。
キャサリンが、クリストファーから言われた言葉を聞くと、アレクサンドラは一瞬顔を顰めたが、すぐにいつもの美しい微笑みに戻った。
「クリストファー様は、後でお仕置きしておくとして。」
アレクサンドラの妖艶な笑みは、女性同士であるキャサリンでもどきり、とさせられた。
「キャサリン様、大人になられましたわね。」
幼い時、ケネスと会いたいと泣きついたキャサリンはもういない。自分の力で変えたいと、相談してくれたことをアレクサンドラは褒め、認めてくれた。憧れの淑女であるアレクサンドラにそうされることで、キャサリンは気持ちが満たされていくのを感じた。
「では、キャサリン様。願いを叶える方法を、私は一つ持っておりますわ。」
「・・・!本当ですか!」
藁にもすがる思いだったキャサリンは目を輝かせた。
「ええ。ですが、それをお教えする前に。」
キャサリンは、ごくりと生唾を飲み込んだ。どんな代償が待っているのか、身体が震えるほど恐ろしい。だが、どんな困難も乗り越えようと、拳を強く握った。
「ケネス様を、口説いていらっしゃい。」
「へ?」
アレクサンドラから課されたそれは、ある意味とても恐ろしい難題だった。
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