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しおりを挟む悪役令嬢、と呼ばれるもう一つの要因として、性格が苛烈なことも良くなかった。
病弱な妹、マリアがお茶会や交流の場に来れないことを良いことに陰口を叩かれることが多かった。私はそれを許せずにいつもきつく言い返してばかりいた。
陰口を言ってくる子どもたちは、自分が陰口を叩いたことは隠して、私に言い返されたことだけを大人へ言い付けるので、その頃の私は叱られてばかりだった。
「キャロライン、謝りなさい。」
一生懸命、妹を守っていたのに、両親から重ねられたこの言葉に、ある日限界が来て、私はまたしてもロビンの部屋へ逃げ込んだ。
「もういやだ。私、ロビンといたい。他の子といたくない。ずっとロビンとだけ一緒にいたい。ロビンがいい。」
支離滅裂に状況を伝えた後、そんな風に駄々を捏ねて、大泣きして、気が付いたら泣き疲れて眠ってしまっていた。ウトウトする中、「愛くるしい僕のキャロラインを虐める奴は退治しないとね」と聞こえたのは、恐らく夢のことだろう。
しばらくして目覚めたら、自分の部屋に戻っていて、何故か両親に今までの事を謝られた。そして、陰口を叩いていた子どもたちも、入れ替わり立ち替わり謝罪にやってきた。何故解決したのか、誰も教えてくれなかった。
同じ頃、ロビンがお茶会や交流の場に参加できる年齢となったので、それからは私はいつもロビンと一緒だった。その頃から、何故か陰口は格段に減っていった。
◇◇◇
いくつになっても、ロビンの部屋でのんびりと過ごす時間は無くならなかった。ロビンは読書をして、私はゴロゴロして。少し大きくなると、一緒に勉強することも増えた。
無言で何時間も過ごすことが殆どで、ロビンのお父様に「退屈していないか」と心配されたり、ロビンのお母様にお茶に誘われたりしていた。その度に私は、ロビンと過ごすこの空間が一番好きだと伝えるが二人は納得いかないようだった。
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