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しおりを挟む「ピーター。こっちは作業場へ持って行ってくれる?」
「ああ。」
「ルーシー様、こちらはどうしましょう?」
「こっちのタラノプは乾燥も済んでいるから、いつものように細かくカットをお願いできますか?」
「畏まりました。」
王宮に着いて二週間が経った。行く前はあんなに不安だったのに、来てみたら住みやすくて毎日が充実している。私が暮らしやすいようにって気を遣ってくれているピーターのおかげだけれど。
ピーターの暮らす離宮の周りの広い土地を畑にしてもらって、そこでタラノプを沢山育てている。ピーターとリリーさんたち女性騎士にも手伝ってもらい、師匠の家に居た頃よりも何倍も多くタラノプを育てることができている。
私は『落ちこぼれ』の時の悪評があるから、王宮で会う大人たちに陰口を叩かれないか怖かった。だけどピーターは私の傍から絶対に離れようとはせず、いつも一緒だし、周りには親切な大人しかいない。私の身の回りのことはリリーさんたち女性騎士が手伝ってくれるし、ご飯は美味しいし、食べたことの無いケーキやお菓子が毎日食べられる。
それでも私は、早く師匠の家に帰りたかった。師匠の顔を見て、安心したかった。師匠のご飯が早く食べたくて仕方なかった。
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