【完結】君たちへの処方箋

たまこ

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「……最後のメール、見た?」

「……見ました」

「消してほしい」

 懇願するように言った旺也へ、葉名はにっこりと笑った。

「絶対いやです」

「葉名さん!」

「消しません」

「あ、あれはかなり前に送ったもので……」

「知ってます」

「あのメール、送った後でしまった、って思ったんだ!恥ずかしいこと語り過ぎたって……だから!」

 両手を握り、必死に頼む。だが答えは決まっていた。




「私、ラブレターなんて初めて貰ったんです」

 へにゃりと笑う葉名と頭を抱えた旺也を、颯は不思議そうに見ていた。




◇◇◇◇


 ラジオネーム:ガラス職人

 以前から何度かご相談させていただいているガラス職人です。毎回丁寧なご助言、ありがとうございます。

 今回の相談ですが、前回相談した彼女のことです。前回、いつも私たちを助けてくれる方と結婚するかどうかご相談し、その後彼女と結婚することを決めました。

 前回もお伝えしましたが、私たちの結婚の理由は家族になることで、お付き合いとか、男女の関係とかそういったものとは縁の無い結婚です。

 ですが、私は彼女を女性として好きになっていると気付きました。

 ……いえ、白状すると彼女と出会ってばかりの頃から、彼女のことは好ましく思っていました。優しく穏やかで、いつも笑ってくれる彼女を大切に想うまでそう時間は掛かりませんでした。ですが、魅力的な彼女は自分には勿体ないとすぐ気持ちに蓋をしました。

 しかし、彼女と結婚することになり彼女と過ごす時間が増えるにつれ、蓋をしていた気持ちがどんどん溢れ出してきました。ですが、前述の通り、私たちの結婚は家族になることが目的で、彼女へアプローチしても良いものか悩んでいます。

 彼女が私たちを大切にしてくれている以上に彼女のことを大切にしたい、彼女が過ごしやすいようにしたい、そう思う一方で、彼女からやっぱり結婚したくない、と思われるのが怖くて余計なことはしたくないと思ってしまいます。いつも以上に纏まりのないメールで申し訳ありません。ご助言どうか宜しくお願い致します。

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