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しおりを挟む葉名からの提案は、保育園では無く子育て支援センターを利用する、というものだった。そこでは子どもと保護者で通い、他の親子と交流したりイベントや遊びを楽しむ場所のようだ。町内ではいくつかの子育て支援センターがあったが、そこから保育園が運営しているものを彼女は勧めた。その保育園は颯が元々通っていた保育園とは別の園だった。
「これまで通っていた保育園にまた通うのはもしかしたら難しいかもしれません」
颯の昼寝中、葉名はそう言った。
「勿論戻れたら戻れたで良いんですが、戻れない時のことも考えていた方が良いかなと思います」
“保育園に行っている間にお母さんと会えなくなってしまったから、ここにいることが不安なのかもしれません”―――以前保育士がそう話していたことを思い出す。旺也がそれを伝えると葉名も大きく頷いた。
「今、旺也さんと離されるのは颯ちゃんにとってすごく辛いことだと思います」
「……そうか?」
葉名が来ている間は旺也を羽虫のように追い払うし、葉名がいない間は葉名の話ばかりしている甥を思い出し、旺也は首を捻った。
「そうですよ。なのでまずは保育園の場所に慣れていく練習をしましょう。楽しい場所だと、安全な場所だと思えることを目指せたらいいかな、と」
「ああ」
「ここに慣れて、この保育園なら行けそうと思えたら保育園へ相談してみましょう。颯ちゃんに合わなかったら、また別の方法を考えてみましょ」
颯が昼寝から目覚め、子育て支援センターのホームページを見せると「はなちゃんといく」と即答する。せめて三人で行こうと説得するのに随分と時間が掛かった。
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