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しおりを挟む「葉名さん、その、聞いてほしいことがあって……」
「何でしょうか」
夕食後、いつものように「はなちゃんとねむる!」と訴える颯をスムーズに寝かしつけた葉名へ旺也は切り出した。
「葉名さんが来てくれて本当に助かってます。颯がご飯を食べるようになったし、すんなり寝てくれるようになったし……何てお礼を言っていいか」
「そんな……旺也さんの頑張りのおかげですよ」
葉名はいつもそう言って首を振る。たまたま自分と会ったタイミングで落ち着いたかもしれないが、それは旺也がそれまでの間ずっと颯に寄り添っていたおかげなのだと。だが旺也にとっては葉名は救世主のような存在としか思えない。
「……っ、とにかく、とても感謝しているんです」
「ふふ、それは嬉しいです」
「ただ葉名さんに負担を掛けていることが心配で。申し訳なくて」
「うーん、負担ではないですよ?私もここに来るのが楽しいですし」
「だけど……」
平行線になってしまい旺也が困ったように眉尻を下げると葉名は苦笑した。
「旺也さん、私ここに来るのが本当に好きなんです。そこは分かってほしくて」
旺也が小さく頷くのを見て葉名は言葉を続けた。
「だけど、旺也さんに気を遣わせてしまうのも心苦しいので一緒に考えましょう」
「うん?」
「旺也さんも私も負担の無い方法を」
それから旺也と葉名は話し合い、葉名の訪問は平日は二日、そして土日のどちらか一日と決めた。
「何だかアルバイトのシフトみたいですね」
楽しそうに笑う彼女は最後に「困ったことがあれば決めた日以外でも連絡ください。絶対ですよ!」としつこく旺也に念を押した後で家路についた。
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