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しおりを挟むアンとギルバートの結婚式当日。
「リイナ。」
先に式に出席しパーティー会場に着いていたロナルドが馬車まで迎えに来てくれる。ロナルドの手を借り、馬車を降りると会場まで向かう。
「ロナルド様。」
「何だ?」
「ドレスの感想、何か無いんですか?」
小声ではあるが不満そうに口を尖らせるリイナにロナルドは怒ったように顔を顰めた。今日のリイナはマタニティ用のふんわりしたドレスではあるが、リイナの可愛らしさを表現されており他の招待客の視線を集めていた。
ロナルドはリイナの頬を掴んだ。また抓られると思わず目を閉じたリイナにロナルドは口づけを落とした。
「ちょっ、ちょっと!ロナルド様!」
顔を真っ赤にし詰め寄るリイナに「まだ夫のことを様付けで呼んでいるようなお前にはこれだけで十分だ。」とロナルドは鼻を鳴らした。
◇◇◇◇
「ふふふ。素敵な式でしたね。」
結婚式の帰り道、馬車の中でもリイナは上機嫌だった。アンは美しく着飾られ、幸せな笑顔を終始浮かべていた。並べられた料理の中には、アンの作ったパンもあり招待客に大人気でリイナは時折ロナルドに呆れられながらもパンをたくさん食べたほどだ。アンとギルバートらしい結婚式にリイナはうっとりしていた。
「リイナ。」
隣に座るロナルドがリイナのお腹に手を添えた。
「子どもが生まれて落ち着いたら式を挙げよう。」
「え、良いんですか?」
ロナルドは頷いた。バタバタと籍を入れ、式も出来なかったことにロナルドはずっと引っかかっていたのだ。
「ありがとう……ロナルド。」
学生時代ぶりの呼び方にロナルドは目を見開いた後、「魔術協会の会長が、結婚式も挙げていないと言われたら敵わないからな。」といつもの憎まれ口を叩いた。
「ふふふ。」
「何だ?」
「ロナルドの憎まれ口は私だけが聞けるんだなぁって嬉しくて。」
「何だと?」
怒ったようにまた頬に手を添えられる。次に何をされるかは勿論分かっていた。
<お高い魔術師様は、今日も侍女に憎まれ口を叩く。:完>
最後までお読みいただきありがとうございました!
アンとギルバートのお話『堅物監察官は、転生聖女に振り回される。』も宜しければぜひお楽しみください!
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完結おめでとうございます㊗️
面白かったぁ~🥰🪄
『堅物監察官~👹』が好き過ぎて、終わってしまったのを寂しく感じていたので、『ロナルドのサイドストーリー』はとても嬉しいプレゼントでした✨🎁✨
また、本編には登場していないリイナちゃんや、アンちゃん&👹の結婚式💒の様子などが読めた事も、とても嬉しかったです😍💘
物語の最初の方のロナルドは『気難しい魔術協会の偉い人🪄』…といった印象でしたが、お話を読んでいくうちに印象が、大好きな人と結婚する為に頑張る『恋するツンデレ魔術師🪄』『愛すべき意地っ張り😳💓』に変わりました😊
10年も一途に…愛の為に頑張ったご褒美は、愛するリイナちゃんと可愛い赤ちゃん👶
ロナルドは世界一の果報者ですね😉
きっとこれからも、憎まれ口を叩きながら、大切に溺愛していくんだろうな( *´艸`)💕
今回もお話が繋がった時、会いたかった親友に会えた様な喜びを感じました🤝
たまこ先生、いつも楽しい作品をありがとうございます📖✨
Kitaさま
遅くなりました💦素敵な感想ありがとうございます〜!!
堅物監察官の方で、捻くれたキャラクターだったロナルドのストーリーを書きたくなり…😁✨
憎まれ口を叩くロナルドも、可愛くて素直なリイナも、書いていてとても楽しかったです!
両方のお話を楽しんでいただけてとても嬉しいです!!両方の繋がりを喜んでいただけて、私の方こそ果報者です😆💕
いつもお読みいただきありがとうございます♪
新作、読ませていただいてます㊗️💕
ロナルド🪄キタ━(゚∀゚)━!!
たまこ先生ありがとうございます😍
実は私、『堅物監察官…』で初めてロナルドが出てきた時、『魔術協会の会長』という肩書きから、ロマンスグレーのおじいちゃん👴を想像して読んでました(笑)🤣
読んでいてすぐに間違いに気付いたのですが、一瞬、勝手に老人扱いしたお詫びも込めて、リイナちゃんとの恋❤️全力で応援したいと思います(o^-^)尸
Kitaさま、早速お読みいただきありがとうございます!
あちらでは年齢層も描いていなかったのでそう想像されると思います🤣🤣
こちらもお楽しみいただけたら嬉しいです😆💕