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しおりを挟む公爵家の使用人がお茶を淹れ直し、オリヴィア(ガブリエル)様の席を作ってくれた。元々たくさん並べられていたお茶菓子も更に追加された。
「あ~ん!美味しそう!さぁ、アニエスも食べましょ!」
「え、ええ。」
「ガブリエル、アニエスに話しかけるな。」
「何よ。大体、貴方が勧めないからアニエスもお茶菓子に手を付けられなかったんでしょ!」
「む……。」
オリヴィア様の言葉に、リシャール様は眉間に深く皺を寄せた。
「あ、あの……どうしてオリヴィア様は……。」
私が言葉を探していることを察し、オリヴィア様はにっこり笑った。
「ずっと貴女に会いたいって、リシャールにお願いしていたの。だけどリシャールから断られてばかりで。」
今日は無理矢理来ちゃった、とお茶目にウインクする仕草が可愛らしい……男性だとは思えない程に。
「では、よくお二人で過ごされていたのは……?」
「ふふふ。それはね……。」
「おい。ガブリエル!」
オリヴィア様の言葉を、リシャール様が制止する。
「今言わないと、誤解されたままよ?」
「む……。」
暫く考え込んだ後、リシャール様は口を開いた。
「……アニエスの誕生日プレゼントを選んでもらっていた。」
「へ……?」
「リシャールが選んだものはあまり喜んでいないようだからって、頼まれたの。」
「そんな……!リシャール様から頂いたものは全部……っ!」
「「全部?」」
リシャール様の瞳は不安そうに揺れ、オリヴィア様は愉快そうに笑った。私は恥ずかしさを堪え、言葉を続けた。
「……全部、大切に保管しているんです。汚したり失くしたりしないように。」
その瞬間、リシャール様の頬が緩んだ。そんな顔はもうずっと見ていなくて、私の身体中に熱が駆け巡った。
「ふふふ。それも素敵だけど、身に着けた方が貴女の婚約者は喜ぶと思うわよ?」
「う……はい。リシャール様、これからは身に着けますね。だけど本当に……。」
どのプレゼントも嬉しかったです、と小声で囁くとリシャール様は蕩けるように笑い「ああ。」と大きく頷いた。
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