【完結】可愛くない、私ですので。

たまこ

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 私が着飾ることから距離を置くようになったのには理由がある。


 物心つく前に母を亡くした私の為に、お父様は再婚した。お父様は王宮に勤めており貿易に関する職務を担っていることから、外国に行くことが多く屋敷を不在にしてばかりだった。私が寂しい思いをしないようにと連れてこられた継母は、いつも美しく着飾り華やかな化粧をしていた。化粧品や香水の匂いが強く、またどこか胡散臭い態度の継母に私は全く懐かなかった。



 そしてある日、私は継母がお父様ではない別の男性を寝室に連れ込んでいる所を目撃してしまった。それに気付いた継母は、色々と理由を付け私を折檻するようになった。

 ある時は姿勢が悪いとか、ある時は挨拶の声が小さいとか、そんな無理な理屈を並べ立てて。使用人たちが諫めようものなら、その使用人を首にするような酷烈な人だった。


 この地獄のような日々がずっと続くのだと思っていた。

 だがある時、お父様が気付いてくれたようであっという間に継母は屋敷から追い出された。首にされた使用人たちも呼び戻され平和な日々を取り戻したのだが、私は継母のような華やかに着飾ることが苦手となり地味な装いを好むようになった……どれほど周りから陰口を叩かれようとも。


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