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 翌日。

「……。」

「……。」


 いつものように、気まずい無言が続くお茶会。私の目の前に座るのは、婚約者のリシャール様だ。公爵家の次男であるリシャール様と伯爵家の一人娘である私では、爵位の差はあるものの互いの家に利があるようで五年前私たちが十二歳の頃に婚約が結ばれた。


 よくある政略結婚だが、リシャール様は賢くもなく美しくもない私が婚約者であることが不満のようだ。会う度に不機嫌そうに眉間に皺を寄せられ、交わされる言葉は最低限。こんな意味のないお茶会が毎週あり、私も、恐らくリシャール様も苦痛を強いられていた。


 リシャール様のお屋敷で行われるこのお茶会を少なくするよう、失礼の無いような形でお父様から何度もお願いしていただいた。だが公爵家から了承されることは無かった。公爵家としては将来の為に私とリシャール様の仲を深めてほしいというお考えなのだろうけれど逆効果としか思えない。何度お願いしても受け入れられないので最近では私も諦めてしまった。


 公爵家の使用人が、リシャール様へ声を掛ける。


「アニエス。そろそろ……。」


「はい。本日もありがとうございました。来週もお会いできることを楽しみにしておりますわ。」


 漸く終わったという解放感から、私は小さくほっと息をついた。きっとリシャール様も同じ気持ちだろう。


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