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「殿下は、クララを助けて欲しい、と俺に頼んだ。」


 第二王子は既に学園を卒業している。なので、まだ学生で、第二王子の侍従候補であるジェレミーにクララのフォローを頼んだ。本来なら、他の女子生徒がフォロー出来たら良かったのだが、思いもよらず、クララが令息たちを虜にしたことで、クララは、女子生徒からは総スカンを喰らっていたのだ。


「殿下とクララの婚約は、まだ公表できない状態で、彼女をフォローできる人間があまりおらず……だが、決して二人きりになったりはしていないし、心通うようなことは無いんだ。」


 クララには、第二王子の影がつけてあり、私がジェレミーとクララが二人きりだと思っていた場面でも常に誰かしらがいたらしい。



「……相談してくれたら良かったのに。」


「……っ、ああ、俺も後悔してる。アマンダしか見えていないから、クララと過ごしていると周りからどう見られるかなんて考えたこともなかった。」



「んん?」


 私の口から令嬢らしくない音が漏れた。



「アマンダしか見えていないんだ。他の女子は石ころみたいな物だ。だから、クララといようが、他の女子生徒といようが何にも思わない。」


 急にジェレミーから発せられる甘ったるい言葉に私は顔を真っ赤にした。


「……だけど、この前教会でアマンダが他の男といる所を見て、俺は恐ろしくなった。アマンダが他の男の所に行くのではないか、もう俺とはいてくれないのではないか……あの短時間で絶望していた。」


「あ、あのお方は……。」



「ああ、分かっている。アマンダが話を聞いていただけだと。それでもあれ程辛かったのだ……あんな思いをアマンダに長い間させていたと思うと……。本当にすまなかった。」


 ジェレミーは深々と頭を下げた。私は言葉が出なかった。




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