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しおりを挟む「アマンダ……。体調は大丈夫か?」
顔色の悪い、私より体調の悪そうなジェレミーがやって来た。
二人きりにならないように、ドアは開けておりその近くでバーサが控えている。ジェレミーの従者アーロンも控えているようで、バーサはジェレミーとアーロンを鋭い眼差しで睨み付けるのに忙しそうだ。
「ええ。もう熱は下がってるの。……ジェレミー。この前はごめんなさい。」
「いや。俺が全て悪い。」
私はふるふると首を振った。
「ジェレミーの意見を聞かなかった私も良くなかったの。ジェレミーの話、聞かせてくれる?」
私の言葉に、ジェレミーはぎこちなく頷いた。
◇◇◇◇
「クララは、第二王子との婚約を控えている……。」
「え!」
思いがけない言葉に私は目を丸くした。ジェレミーは、この国の第二王子の侍従候補だ。第二王子は、これまで婚約者もいなかった筈だ。
「殿下がお忍びで市井に遊びに出た時に、出会ったらしい。それから心を通わせたようだ。」
まさかの恋愛小説のような展開に、私は戸惑いを隠せない。
「それで、婚約者として迎えたいようだが、流石に平民では難しい、ということで遠縁の男爵家に養子に入った。男爵家で、基本的なマナー等を身に付けたら、伯爵家以上の家で養子縁組するらしい。」
心の中で、そんなことが出来るのか、という私の疑問が湧く。それに気付いたジェレミーが「かなり例外的な処置だ。」と付け加えた。
「クララは……努力して勉学に取り組んではいるのだが、最初の頃はマナーに苦戦していた。平民と貴族では、異性間の距離が違う。彼女の距離の近さに勘違いした令息がたくさん出てしまった。」
ジェレミーは、うんざりしたような表情で息を吐いた。
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