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第二部
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しおりを挟む意外なことに、エラは魔法の勉強を真面目に取り組んだ。貴族へ施されるマナー教育や領地経営に関する教育などは全く興味が湧かずサボってばかりだった。ナスタジアが、ご褒美の小説を餌に机に向かわせてくれなければ学園を留年していただろう。それほど勉強嫌いのエラだが、魔法についての勉強は苦ではなかった。
中でもエラが気に入ったのは『飛行魔法』だ。
これは、物を浮かせたり飛ばす魔法だ。コントロールはまだまだだが、講師たちからも「才能がある」と褒められたほどだ。自分を浮かせてみたいと聞いてみたが、それは一握りの魔法使いしかできない高度な魔法だから駄目だと言われてしまった。これで怪我をする子どもたちも多いのだと言う。
少々残念に思ったエラだが、また有効活用する方法を思いつき、講義が終わった後に早速挑戦することにした。
ガシャン!!
「おい、クソガキ。もう止めろっつっただろ?」
「うう……だって、上手く出来そうだったんだもの」
「チッ、さわんじゃねーぞ。怪我でもされたら迷惑だ」
「何よ!自分でやるわよ!」
エラはぷんぷんと怒りながら、割れた窓ガラスを片付けるための箒を手に取る。
ジャックが食事作りをするので、エラは塔内の掃除をするようにとジャックが家事の割り振りをした。正直全く掃除の能力がないエラは時間は掛かりすぎるし失敗ばかりだ。
今日は飛行魔法を活用して、雑巾を飛ばし窓を拭こうとしたが、うまくコントロールできず三枚も窓ガラスを割ってしまった。エラは力任せにガラスを箒で集め、塵取りで取ろうとすると「痛っ」と声が漏れた。
「言わんこっちゃない」
「何よ、こんなの大したことないわ」
「うるさい、こっち来い!」
ジャックに強く腕を掴まれ、エラは身を捩るがびくともしない。そのまま、洗面室に連れて行かれると切った指先を水で丁寧に洗われる。
「ガラスの破片が残ってたら、大怪我になる。お前の家族だって心配するぞ」
「は?何言ってるの?心配する訳ないじゃない!」
「お前……。」
ジャックは呆れたようにエラを見つめるが、エラは頑なだ。あんな大問題を起こした自分に家族は見切りをつけただろう、と信じ切っている。
「じゃあ……お前が怪我したら俺が心配する」
「は?」
「だから怪我をするな。俺を心配させるんじゃねー」
「な……何言ってんのよ!あんたに心配されても嬉しくないわよ!」
真っ赤な顔でキーキーと怒鳴り始めるエラを見て、ジャックは可笑しそうに笑い声を上げた。
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