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第二部
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しおりを挟むエラが魔力を持っているのではないかと気付いたのはイザードだ。
イザードはナスタジアから災害の後からエラの様子が可笑しなことを聞かされ、以前から魔力の関与を疑っていた。そして、あの婚約破棄のあった舞踏会でエラと対峙した際に魔力を感じ、それをエラの裁判時にも伝えた。
エラの国では魔法使いはいない。隣国は魔法使いが多いがこちらの国と交流が薄く、魔法というものに対して知識が無かった。その為イザードが王太子の権限を使って数名の有能な魔法使いを派遣し、鑑定したところエラが魔力を持っていることが判明した。
「なぜエラ嬢に魔力が……。」
国王は酷く狼狽えていた。両親ともにこちらの国の生まれであるのに、魔力を持っていることが信じられなかった。エラ自身も相当動揺していたが、前世の記憶があることが影響しているかもしれないことは伝えなかった。言っても無駄だと思ったからだ。
イザードの国では魔力を持っている場合、幼少期から力をコントロールする教育を受ける。しかし、エラは大人になるまで一切その教育を受けていない。
「魔力のコントロールを身に付けていない子どもは、自分の負の感情が生まれるとそれが増幅し気持ちや行動のブレーキが利きにくくなりますが心当たりはありますか?」
イザードが派遣した魔法使いに尋ねられ、エラは前世の記憶のことは隠したまま話した。
幼少期から魔法使いに憧れていたこと、婚期を逃してはならないと焦っていたこと、それから家族の制止も聞かず舞踏会に欠かさずに出ていたこと。そこでチャーリーに見初められ、もしかしたら魔法使いと出会えるかもしれないと思ったこと。
嘘は言っていない。国王も、ナスタジアからよくエラの魔法使い好きの話を聞いていたので事実であろうと認めた。
裁判は揉めに揉めた。
エラの行動は魔力によって左右されていた。だが、それを裁く法律がこの国には無かったからだ。裁判官たちが頭を抱え、結局またイザードに頼ることとなった。
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