【完結】就職氷河期シンデレラ!

たまこ

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第二部

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「もうっ!!何で私がこんなことしなくちゃいけないのよっ!!」


 辺境の地、その森の奥に一人の美しい女性がいた……言葉遣いや怒りに満ちた表情は美しいとは言い難いが。彼女の美しい容貌とは裏腹に身に着けている衣服はみすぼらしいものだった。


 暗い塔の中、女性は慣れない手つきで窓を拭いていた。埃まみれになり、エプロンの裾には蜘蛛の巣まで付いている。



「ほら、さっさとしねーと日が暮れるぞ」


「もう五月蠅いわねっ!!口出さないでちょうだい!!」


「へーへー分かりましたよ、お嬢様」


「馬鹿にしないでっ!!」


「ふん」


 女性の隣には、一見荒くれ者にしか見えない、武骨で髭は伸びっぱなしの男が壁に寄りかかり彼女を監視しているようだ。男の身に着けている騎士服により、漸く彼が騎士だと判断できる。彼はそれほど騎士らしくない風貌だった。



「もうっ!!何で私がこんなことしなくちゃいけないのよっ!!」


 彼女は怒りが堪え切れず、また叫んだ。森中に響き渡るような大声だった。





◇◇◇◇


 ナスタジアがイザードと隣国に行ってしまってから、チャーリーとエラはそれぞれ裁判を受けた。チャーリーは生涯幽閉が決定したが、エラの刑についてはチャーリーよりずっと軽いものとなった。


 それには二つの理由があった。


 一つ目はエラが、チャーリーとナスタジアの婚約破棄に乗り気では無かったこと。これは、国王陛下が秘密裏にチャーリーに付けていた影によって、婚約破棄に燃えるチャーリーに対してエラが止める発言を幾度もしていたことが証明されたからだ。



 そして、二つ目はエラ自身が魔力を持っていたこと。



 魔法使いに誰よりも憧れていた彼女自身が、魔法使いだったのだ。


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