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第一部
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しおりを挟む「ですが、職に就けなかったから、はい、それで御仕舞ではありません。いいですか、エラの同級生たちで職に就けなかった者は自領の経営の手伝いをする者、奉仕活動に取り組む者、就職活動を続ける者、上の学校へ行き自分をより高めようとする者……就職はしていなくとも何かしら努力しております。」
ナスタジアの言葉にチャーリーは次の言葉が見つからない。
「殿下の仰る『適材適所』の仕事に就けることは素晴らしいことですが、現状は不可能です。何かしら職に就ければ幸運なのです……それに比べて、エラ、貴女は毎日ゴロゴロしてはケーキがないと癇癪を起し、お義父様の遺産を食い潰す毎日を送っているだけ」
「お義姉さま……ひどいっ」
エラはナスタジアを涙目で見つめるが、それにたじろぐナスタジアではない。エラはナスタジアにとって大荷物でしかないのだから。荷物に怯む人間などいない。
「酷いのはどちらかしら?貴女がダラダラしている間も、私やお母様は領地のために駆けずり回っていたわ。貴女へ少しくらい家事をしてほしいとお願いしても癇癪を起して、結局私たちがしていたわ。一体どちらが使用人のようなのかしら?」
「で、では、お前たちがエラを『灰かぶりのエラ』と嘲笑ったと言うのは……」
恐る恐る尋ねるチャーリーへ、ナスタジアはうんざりしたように答えた。
「それはエラが勝手に邪推して“『灰かぶりのエラ』と裏で言っているんでしょう!”と何度か癇癪を起していたことだと思いますわ。ですが私も母も一度もそう呼んだことはありません」
「そんな、お義姉さま……」
縋るようにナスタジアを見つめるエラをその場にいた全員が白けた目で見ていた。もう誰が嘘を付いていたかは明白だった。
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