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しおりを挟むパーティー当日。
私は、パーティーにきちんと参加する振りをして屋敷を出発した。しかし、学園までは来たものの会場には向かわず、裏庭に来ていた。
裏庭には林があり、大きな木々が所狭しと並んでいる。
「これにしようっと。」
私はその中から程良い木を見つけると、ひょいひょいっと登り始める。幼い頃、あの意地悪でヤンチャなお兄様に着いて遊んでいた私には木登りくらい容易い。
今日、私はベンジャミン様のエスコートから逃れる為に、ここで一日隠れることにした。遠くから、音楽が微かに聞こえる。私は持って来た本を広げ、夕方まで過ごす……筈だった。
「ルシル!」
本を数ページ捲った頃、木の下にベンジャミン様が現れ、私はギョッとした。
「ベンジャミン、さま?」
ベンジャミン様は頷いた後、木を登り始め、私は更に目を丸くする。ま、不味い。登られたら、もう逃げる場所がない。私がわたわたしていると、ベンジャミン様はあっという間に私のいる場所まで登り切ってしまい、隣に座った。
「ルシル……。」
「ベンジャミン様、どうしてここが?」
「……幼い頃から、ルシルはよく木の上に隠れていた。」
幼い頃のことを覚えてくれていた、と胸が高鳴るが、違う違う!と首を振る。
「ベンジャミン様……」
ヴィクトリア様の所へ行かないと、と私が伝える前に、ベンジャミン様が尋ねた。
「ルシル……そんなに俺と行きたくなかったのか?」
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