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「ベンジャミン様のエスコート、ですか?」


 学期末に毎回行われる、学園のパーティが来週予定されている。学園の中のパーティと言えども、卒業後の社交界を見据えたもので、保護者も参加し内容は本格的なものだ。ただ、学園に通うのは平民の子もいるので服装は制服と決められている。


 そのパーティへは、生徒全員が参加し、女子生徒は男子生徒もしくは親族のエスコートでの入場が義務付けられている。昨年はベンジャミン様がエスコートして下さったけれど、会話らしい会話は無かった。今年は、お父様にエスコートをお願いしようと思ったのだけど……。



「ルシル。お前とベンジャミン殿の婚約はまだ解消となっていない。そんな中で私がエスコートなど出来ないだろう。ベンジャミン殿にエスコートして貰いなさい。」



「そ、そんな~お父様……。」


 そこを何とか、と頼み込むが、お父様が頷くことは無かった。



「それに、ベンジャミン殿からルシルをエスコートさせて欲しいと連絡も来ている。それを断り、私がエスコートするのは可笑しいだろう。」



「え?まさか……。」


 ベンジャミン様が私をエスコートしたいなんて、そんな訳が無い。だが、お父様がベンジャミン様からの手紙を見せてくれ、それが事実だと分かる。だが、信じられない気持ちで食い下がる私は、ぽいっとお父様の執務室から追い出された。



「ベンジャミン様がエスコートされるって、どうしたらいいの……。」


 ベンジャミン様だって、ヴィクトリア様をエスコートしたい筈なのに、未だに婚約中の私に気を遣っているのだろう。私は申し訳なさに打ちひしがれながら、ベンジャミン様のエスコートをどう回避するか頭を回転させた。




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