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20(ダンフォースside)
しおりを挟むある日、ジュディスが高熱を出した。雪の中でぼんやりしているジュディスを見て、慌てた俺は、強い言葉を掛けてしまい、泣かせそうになってしまった。風邪を拗らせ、毛布の中で苦しそうにしているジュディスの看病をしていると、病に倒れたサミュエルを思い出し、胸が痛くなった。朝も、昼も、夜も、ずっと傍にいないと、何も手につかなかった。
(早く、いつも通りのジュディスに。)
繋いだ手を離すことも恐ろしかった。
◇◇◇
看病の甲斐もあって、ジュディスが起き上がれるようになった日、姉が工房にやってきた。
「やっと終わったわよ。」
大金を持ってきたレベッカは、重たそうに机に封筒を置いた。ジュディスの叔父から回収した、ジュディスが本来受け取るはずだった祖父母の遺産。そして、酷い仕打ちをした慰謝料がプラスされている。レベッカは方々を駆け回り、ジュディスが祖父母の遺産を受け取れるよう手続きしてくれた。
「慰謝料は、しっかり毟り取ってやったわよ!」
胸を張る姉は頼もしい。姉の弁護料を支払うために、準備していたお金を取り出すと仕舞うよう、一喝される。
「これは、結婚祝いよ!有り難く受け取りなさい!それより早くジュディスちゃん紹介してよ。」
「今日は熱を出しているんだ。それに、姉さんに会って、こんな義姉は嫌だって結婚してもらえなかったら困る。」
「何ですって!」
怒り狂う姉を見て、思わず笑いが込み上げた。ジュディスの叔父が売り飛ばした、既に祖父母の物も買い戻している。これでやっと、ジュディスにプロポーズできる。そんな俺を見て、姉も微笑んだ。
「婚姻届の保証人、私と旦那が書いたもの郵送するからちゃんと受け取りなさいよ!」
そう言い残して、姉は帰っていった。この時、さっさとジュディスに姉を紹介しておけば良かったと、深く後悔することになるのを俺は知らない。
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