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しおりを挟む「はぁ……」
レイナルドの溜め息をルパートはうんざりした表情で咎めた。
「何回目ですか」
「何がだ」
「無自覚ですか。ここ数日数えきれないほど溜め息を吐いていますよ」
「気にするな」
「アメリア様と二週間お会いできないからってうじうじするのはお止めください」
「な……っ」
「……こちらも無自覚でしたか」
ルパートは呆れ切ってお返しとばかりに大きな溜め息を吐いた。
この二週間アメリアは王子妃教育を休んでいる。隣国デリンラードからアメリアの母方親族……つまり隣国の王族が来訪しておりその対応に追われているのだ。彼らはクラーク公爵邸に滞在し、国内の視察や貴族との交流をしながら過ごしている。
「茶会のお誘いもあったんでしょう?何故行かないのですか?」
「ふん」
まだ社交デビューを済ませていないレイナルドとアメリアは、毎晩のようにクラーク公爵邸で開かれている夜会には参加できないが茶会へのお誘いは何度もあったのだ。だがレイナルドは何だかんだと理由を付けて断っている……チャールズやエリザベスは何度か顔を出しているようだが。
「あちらの王族との交流なんて、殿下の仕事のようなものじゃないですか」
「面倒だ」
ばっさりと言い切るレイナルドへルパートはまた呆れた視線を向けた。
「そういえば、デリンラードの王太子殿下……アメリア様の従兄はレイナルド殿下と同い年だとか。王太子殿下も今回の来訪に同行しているらしいですね」
「……」
「公爵家の茶会に出席されたチャールズ殿下が仰るには、王太子殿下とアメリア様、幼馴染のように仲が良い様子だったとか」
腹を立てているのか、うんざりしているのか見分けがつかない表情を浮かべる主をルパートは可笑しそうに眺めていた。
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