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しおりを挟む「リスさん。誰かが来たときはここで過ごしてね。」
入浴後、レナはふかふかのタオルをバスケットに詰め、フィリップを優しく抱えるとそこに入れた。レナのお陰で身体が温まり、毛並みも綺麗になっていた。その瞬間、コンコンとノックが聞こえ、レナが返事をするとマーサがやって来たようだ。フィリップはバスケットの中で小さく丸くなった。
「お嬢様。髪を乾かしましょう。」
「ええ。ありがとう。」
丁寧にレナの髪を乾かしながらマーサは口を開いた。
「お嬢様。いくらフィリップ殿下が心配だからって、お一人で探しに行かれるなんて無謀ですわ。」
(レナが俺を探しに……?)
レナとマーサの会話から、フィリップが急に消えたことで王城内はパニックに陥っているらしい。大規模な捜索がなされ、また関係者には聞き取りもあり、レナもその聞き取りを受けたという。
「お嬢様に無礼なあの男のことをそこまで心配しなくても良いんですよ!どこかのチンピラにでも痛い目に合わされていればいいんです!」
「マーサ……。」
「……言葉が過ぎました。ですが、今回のことで旦那様も堪忍袋の緒が切れたようですよ。今までお嬢様を無下に扱っていたことで旦那様も奥さまも大変お怒りでしたからね。」
(今回のこと……?)
「マーサ。私が悪いのよ。私が至らないから殿下も……。」
「お嬢様……。」
レナの悲しそうな声が響きフィリップは呆然とした。あの冷たい眼差しをしていたレナがそんなことを考えているとは微塵も思っていなかったからだ。
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